NTT(持ち株)は、1月25日に行なわれた社長会見の内容を公開した。NTTの和田紀夫社長は、NTT東西の固定電話基本料金値下げや光ファイバ開放義務、次世代ネットワークに関する方針を示した。
和田社長は、他社による直収電話サービスの提供が始まり、NTT東西の固定電話基本料金の値下げが1月から始まることによるNTTグループへの影響については、「他社の直収電話サービスは始まったばかりだし、これから始まるものもあるという状況で、具体的な話は事業会社から聞いてない」としながらも、「これまでの値下げと、キャリアとして培ってきた信頼性などの総合力で他社に対抗していけるという考えに変わりはない」とコメントしている。
光化・IP化という方向性については、「欧米キャリアも同様の動きをしていることもあり理解を得られたと思う」とする一方で、規制環境や競争ルールが多く話題に上るのは、「現行の規制が光化やIP化を阻害する要因となるという懸念があるのだろう」とコメント。いずれにせよ、「情報通信が大転換期にあるので、何か前向きに進まなければならない」として、光化・IP化を押し進める意欲を示した。
次世代ネットワークのフルIP化への移行シナリオについての質問には「プロジェクトを作って検討を急いでいる」として、「追加機能を付加することが少ない中継ノードから導入することになるだろう。並行して、エッジノードにセキュリティや品質、優先制御などの固定電話と同等の機能を付与する技術開発を進めていきたい」とし、オールIP化に向けて総務省で開催されている「次世代IPインフラ研究会」における検討内容を踏まえつつ、ベンダーと協力しながらキャリア向けルータなどの開発を進める考えを示した。なお、時期については「我々が望む次世代ネットワークの機能を実現するとなるとペースは遅いかもしれないが、立ち上がっていけば早くなるだろう」と述べるに止まっている。
また、グループ企業については、NTTコミュニケーションズ、NTTレゾナント、ぷららなどの役割を抜本的に見直す可能性があるかという問いについて「映像サービスやポータルサイトの展開にあたって得手不得手や重複が見られることから検討を進めようと思っている。場合によっては、ある部分は一緒にするなどの組織再編に結びつく可能性はある」として、重複するサービスなどについては、見直しを進める考えを明らかにした。
そのほか、ヤフーやライブドアによるネット銀行への参入表明が相次いだが銀行業への参入はあるか、との質問に対しては「銀行業は私どもには無理だと思っている」として参入を否定。しかし、「認証や課金などのノントラフィックビジネスを展開する中で、広い意味での金融サービスの周辺事業に進出する気持ちはある」として、銀行業そのものではなく、金融サービスを支えるシステム事業への意欲を見せた。
関連情報
■URL
NTT社長会見
http://www.ntt.co.jp/kaiken/
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・ NTT社長会見「NTT東西の電話料金値下げはギリギリのライン」(2004/10/06)
( 大久保有規彦 )
2005/01/26 22:18
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