ビザ・インターナショナルは27日、都内で報道機関向けにキャッシュレス化やフィッシング詐欺に関するミーティングを開催した。同社によれば、関連業界と連携して2月上旬にもフィッシング詐欺を積極的に取り締まる体制を発表するという。
● フィッシングサイトは通報から24時間以内に削除
ビザを標的にした日本語のフィッシングサイトは、2004年11月にルーマニアのWebサイトを皮切りに、2005年1月中旬ごろにも台湾の台北市でホスティングされていたサイトなど複数のサイトが確認されているという。
ビザ・インターナショナルのコーポレートコミュニケーションズ部長であるダニエル・リンツ氏は、「これまで10数件の日本語フィッシングサイトの通報を受けた。しかし、通報から24時間以内に、該当するISPに連絡して、これらのサイトを閉鎖に追い込んでる」と迅速な対応をアピール。さらに、「各業界と連携して、フィッシングサイトを積極的に探し出し、取り締まる体制を整えている。2月上旬には米国で何らかの発表があるはずだ」とコメントした。
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編集部で確認したフィッシングメール。HTMLメールになっており、中央に記載されたURLには偽サイトのURLが埋め込まれている。表示されているURLは、あたかもビザのサイトを装っているが、このURLをアドレスバーに直接入力してもアクセスできない
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埋め込まれたURLをクリックしてアクセスした偽サイト。アドレスバーに表示されるURLを詐称するほか、サイトのタイトルもビザを偽装している
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● アイスランドでは深刻なネット犯罪は起きていない
会場には、アイスランドのトーヅル・アイギル・オスカーソン特命全権大使も出席し、アイスランド国内のIT化などについて語った。オスカーソン氏は、「現在のPC普及率は86%。IT化にあわせてキャッシュレス化も進み、民間消費支出の72%がクレジットカードによるもの」と、民間消費支出の8%程度に止まっている日本に比べて極めて高いカードの利用状況も披露した。
なお、アイスランドではPCの普及に伴い、ブロードバンド化も進展。急激に発展したという点では日本と似通っている部分もあるが、掲示板などによるインターネット上での論争が殺人事件に発展するような事件は起きていないという。オスカーソン氏は、「アイスランドでは、国家による法規制というよりも、ISPなど業界団体による自主的な規制が強い。しかし、今のところ深刻な問題は発生していない。もちろん、そんな事態が発生したら取り締まる必要はあるが……」と語った。
また、フィッシング詐欺に関しては、「発生している。しかし、犯人がアイスランドにいるとは限らず、国内法だけでの取り締まりは難しい。EUのフィッシング詐欺対策に関連する法律にアイスランドも準ずるつもりだ」とコメントした。
このほか、ビザ・インターナショナルの日本総支配人であるリチャード・チャン氏が、日本におけるキャッシュレス化についてコメントした。チャン氏によると、クレジットカード会社の収益は、加盟店手数料、利用者の年会費、リボ払いの利息の3本柱から成り立っているという。「しかし日本では、国民性からかリボ払いを避ける傾向が強い。そうした状況では収益を確保するために、加盟店への手数料を高くせざるを得ず、手数料の高さから加盟店もなかなか増加しない。その結果、カードを利用する機会そのものが増えないという悪循環に陥っていた。今後はキャッシュレス化に向けて日本独自の工夫を凝らしたい」と語った。
関連情報
■URL
ビザ・インターナショナル
http://www.visa.co.jp/
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( 鷹木 創 )
2005/01/28 13:32
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