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ソフトバンクの売上高、第3四半期は2,580億円~次年度通期で1兆円を見込む

「携帯電話事業には必ず参入する」孫正義社長が強調

 ソフトバンクは9日、2004年度第3四半期の連結決算説明会を開催した。四半期別では初めて連結売上高が2,500億円を突破し、2005年度の通期で1兆円規模を達成できる見込み。また、ADSL事業も第4四半期には黒字化を達成するという。説明会ではソフトバンクの孫正義社長が携帯電話事業などに関しても意気込みを語った。


2005年は連結売上高で1兆円を目指す~「通期の黒字化も見えてきた」孫社長

ソフトバンクの孫正義社長
 2004年度第3四半期の連結売上高は、前年同期比1,213億円増の2,580億円。2005年度の通期では連結売上高で1兆円規模を見込む。孫社長は「年間通期での黒字化も見えてきた」と自信を見せた。なお、当期損益は前年同期比で102億円減少し265億円の損失。営業損益も8億円減少し75億円の損失となった。

 個別に見ると、営業赤字のほとんどは「おとくラインの先行投資によるもの」だという。この先行投資を除くと99億円の黒字となり、「ブロードバンド事業を開始して以来、初めての“黒字化”を達成した」という。また、ADSL事業については営業損益ベースでは37億円の赤字となったが、EBITDAでは19億円の黒字となった。

 孫社長は、トレンドとしてEBITDAは数カ月後の営業損益を示すとし、「順調に推移すれば、第4四半期でADSL事業も黒字化が見込める」と分析。課金者あたりの変動利益が約2,550円と当初ターゲットにしていた2,000円を上回る水準で推移していることや、主力営業部隊をおとくラインへシフトすることによって顧客獲得費を50億円程度削減したこと、販売管理費や製造固定費などの固定費が月平均42億円程度で推移していることなどが黒字化の要因になったという。

 「変動利益が高まり、顧客獲得費と固定費が下がれば自然と利益は出る。インターネットは儲からないと言われてきたが、着実に利益を上げられるようになってきた。」


第3四半期の連結売上高は2,580億円。2005年度の通期では連結売上高で1兆円規模を見込む 「第4四半期でADSL事業も黒字化が見込める」と孫社長

「Yahoo! BBで9月末までに600万回線」は達成困難に

「おとくライン」には、2月7日時点で86万件の受注があり、開通は12万回線になったという
 営業部隊の主力をつぎ込んでいるという「おとくライン」については、2月7日時点で86万件の受注があり、開通は12万回線になったという。ただし、受注から開通に至る間のNTTとの手続きで、「半分の申込客がキャンセルしてしまう」とコメント。キャンセルのケースとして、NTTの回線契約の手続きが原因になる場合があるという。

 回線契約を変更するには、回線を最初に契約した契約名義人をNTTに伝えなければならない。例えば、他人から転売された回線を購入したお祖父さんが死んでしまった場合、残された家族が最初に契約した契約名義人を知らない場合がある。「現在の利用者にしてみれば、知らない名義人をNTTに伝えなければならない。法人が契約名義人になっている場合は前株・後株の違いだけで、変更できないケースもある。知らない名義人の一言一句まで正確に伝えることは不可能。これではまるで潜水艦ゲームだ」とNTTによる手続きの緩和を求めた。

 ただし、営業活動は順調でADSL事業を超えるペースで受注しているという。「インターネットをやっていない家庭や法人も対象なので、獲得コストはADSLに比べて安くなるのではないか」と分析した。

 おとくラインに営業の主力部隊がシフトしたADSL事業は、1月末までの累計で471万件とここ数カ月は月間5万件程度の増加ペースになっている。当初、目標と定めていた「9月までに600万回線」は「おそらく達成が難しい」として、「おとくラインとYahoo! BBで9月末までに650万回線を目指す」と方針を転換。「おとくラインに主力を回したからブロードバンド事業の目標が達成できないじゃないかとお叱りを受けるかもしれないが、言い訳せずに650万件を達成したい」とコメントした。


携帯電話事業の免許が付与されない事態は「考えたくもない」

 「いつか必ず参入する」。携帯電話事業について会場からの質問に孫社長はこう答えた。ソフトバンクBBは、2004年12月6日付で携帯電話事業に新規参入するために免許申請を行なっており、800MHz帯の再編案を提出していた。これに対して総務省は、ソフトバンクBBの再編案を採用せず、該当する周波数帯域をNTTドコモとauに割り当てる総務省案を8日付で発表していた。

 孫社長は決算発表会の席上で「電波監理審議会に総務省案を提出しただけであって、最終結論は聞いていない」と断った上で、「私の知る限りは、携帯周波数の検討会でも賛否両論を併記する結果になったはず。また、総務省のパブリックコメントでも多くの国民が総務省の原案に反対していた」と憮然とした口ぶり。「もし、8日付の総務省案が審議会を通ってしまったら検討会やパブリックコメントはなんだったのか。どういうプロセスで決定したのか全く不透明だ」と激しく非難した。

 免許が付与されない事態は「考えたくもない」という孫社長だが、「申請が正式に却下されれば次のアクションを検討する」という。「基本的には自らの力で免許を取得し、基地局を設置してサービスを提供することが方針だが、既存事業者の買収などの可能性も排除しない」と、携帯電話事業者の買収への含みを残した。

 なお、総務省は9日付で、ソフトバンクBBが行なっていた800MHz帯の無線局免許申請について、電波監理審議会から「拒否が適当」との答申を受けたとする“最終結論”を発表した。ソフトバンクでは決算説明会後、「特にコメントすることはなく、今後の展開については未定だ」とコメントしている。


ライブドアのニッポン放送株取得は「驚いた」

 このほか、光ファイバ事業の「Yahoo! BB 光」についても言及。「テストマーケティングの段階なので、数値については明らかにできないが、現状で1日数百件程度の注文があり、徐々に開通している」とコメント。普及が進まない点については、「技術的な問題というよりも制度や局舎内工事などの手続きの問題。問題点をひとつずつ分析しているところで、一通りコマがそろったら効果的な営業手法で大規模に展開したい」との考えを示した。

 また、ライブドアがニッポン放送の株式を35%取得したことについては、まず「驚いた」と一言。「他社の動向について何か言える立場ではないが」と断った上で、「ソフトバンクもルパート・マードック氏とともにテレビ朝日を買収しようとしたこともあった。しかし、買収は相手先が納得しなければ、なかなか上手くいかない」と苦笑いしながらコメントした。


関連情報

URL
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/

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( 鷹木 創 )
2005/02/09 21:37

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