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マイクロソフト、Windows XP向け“海賊版チェック”日本でも開始

利用者にはスライドショー作成ソフトなどの特典も

 マイクロソフトは15日、Windows XP向けに「Windows Genuine Advantage Program」(WGAプログラム)の試験運用を国内で開始した。利用しているWindows XPが正規版かどうかを確認するプログラムで、当面はマイクロソフトの「ダウンロードセンター」などを通じて提供され、Active Xコントロールによる専用モジュールをダウンロードしてチェックすることになる。WGAプログラムの利用者には、スライドショー作成ソフトやLZH形式の圧縮ファイルを展開できるツールなどの特典も用意している。


Active Xで確認。パッケージ版とプリインストール版では手順が若干異なる

 チェックの手順は、パッケージ版(FPP)、システムビルダー版(DSP)、「System Locked Pre-installation(SLP)」処理済みのOEMプリインストール版、ボリュームライセンスの各ライセンスごとに若干異なる。ユーザーによるアクティベーションが必要なFPPとDSPにおいては、WGAプログラムをダウンロードした際に、アクティベーションが行なわれていない場合はアクティベーションを要求される。その後、Active Xコントロールによるライセンス確認が行なわれ、ダウンロードサイトにリダイレクトされる。

 大手PCメーカーの場合、BIOS情報を参照してハードウェアの同一性をチェックするSLP対応のWindows XPがプリインストールされており、エンドユーザーはアクティベーションが不要だ。この場合は、Active Xコントロールをダウンロードした後に、「Certification of Authenticity(COA)」のプロダクトIDを入力する必要がある。ただし、COAを紛失した場合などプロダクトIDを正しく入力できない時は、PCの製造メーカー名や購入店名、国名などを入力することで確認できるという。

 また、アクティベーションが不要なボリュームライセンスでは、Active Xコントロールをダウンロードした後にライセンス確認が行なわれ、ダウンロードサイトにリダイレクトされる。なお、いずれの手順においてもWGAプログラムによるライセンス確認は1度だけ。ライセンス確認時にマイクロソフトに送信される情報は、BIOSやハードウェアの情報のみとなっており、個人情報は送信されないという。

 現在のところ、ライセンスの確認に失敗した場合であっても、Windows XPが利用できなくなるなどの具体的なペナルティはない。試験運用中ということもあり、特典ソフトのダウンロードも可能だ。ただし、本格運用開始時には「ライセンス確認に失敗したWindows XPに対して、特典ソフトのダウンロードをできなくする」(マイクロソフト広報)としている。


日本版WGAプログラムでは、Windowsユーザーに付加価値提供

マイクロソフトWindows本部のジェイ・ジェミソン本部長
 WGAプログラムは、当初2004年9月から米国で試験的に導入。2005年2月からは、英語版だけでなく日本語版を除く20種類の言語に対応し、特に中国語(簡体字)版、ノルウェー語版、チェコ語版ではチェックが義務化されていた。

 マイクロソフトWindows本部のジェイ・ジェミソン本部長は、「日本の消費者は、知的財産に対する意識が高いため、ソフトウェアの偽造は大きな問題になっていない」とコメント。そのため、日本版WGAプログラムの主な目的は「Windowsユーザーに新しいバリューを提供することだ」と説明した。

 具体的な特典として、スライドショー作成ソフト「Microsoft Photo Story 3 for Windows」や、「Microsoft Office OneNote 2003」の180日間限定評価版を用意した。WGAプログラムを通じてWindowsの真贋をチェックすると無償でダウンロードできる。4月からはZIP形式ファイルの展開ツールと同じ操作性でLZH形式のファイルを展開できるツールも提供する。

 Windows本部の菅伸吾シニアプロダクトマネージャは、「ベトナムではOSなしのPCに海賊版のWindowsを搭載して、不当に安く販売しているケースがある。正規のWindowsを搭載しているメーカーよりも安いのが問題だ」と指摘する。「あくまで予定だが」と前置きした上で、「2005年後半には、Windows Updateを行なう際のWGAプログラム利用を義務付ける予定だ」と説明し、「試験運用期間中にユーザーからのフィードバックを受け取りたい。ユーザーの負担になっては元も子もない。負担になるのであれば、仕様を変更する可能性もある」と述べた。

 なお、Windows 2000やOfficeファミリーを対象にしたWGAプログラムについては、アップデート作業を簡略化する「Microsoft Update」のリリースに合わせて開始する予定だという。


Windows本部の菅伸吾シニアプロダクトマネージャ WGAプログラムのロードマップ

プリインストールPCのアクティベーション廃止も海賊版対策

ライセンス確認方法の一覧
 菅氏はこのほか、Windows XPのプリインストールPCでインターネット経由によるアクティベーションを米国時間の3月1日以降廃止したことを改めて説明した。菅氏によれば、プリインストールPCのWindows XPについては、店頭などで貼り付けられたプロダクトIDが盗まれ、海賊版Windows XPをアクティベーションするケースが発生していたという。

 「COAのみが転売されて、違法コピーの温床になっている。インターネットのオークションで販売されているケースもある。国内での被害はまだ少ないものの、量販店でCOAを剥がして帰る人や、COAのプロダクトIDを写真に撮る人もいたようだ。」

 こうした問題への対策として、マイクロソフトでは、SLP処理されたプリインストールPCにおけるインターネット経由のアクティベーションを廃止。「SLP処理されたプリインストールPCであれば、アクティベーションが不要なため、エンドユーザーにも実質的な影響はない」という。「ただし、SLP処理されたプリインストールPCであってもSysprepなどのイメージ展開ツールを利用する場合は、運用によってはアクティベーションを要求される場合があるので、電話によるアクティベーションを用意している」と説明した。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2223
  プログラム概要
  http://www.microsoft.com/genuine/
  ダウンロードセンター
  http://www.microsoft.com/downloads/

XPプリインストールPCでインターネット経由のアクティベーションを廃止(2005/03/03)
米Microsoftが海賊版対策を強化、中国語版Windowsなどのチェック義務付け(2005/01/26)
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( 鷹木 創 )
2005/03/15 18:49

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