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“プロジェクトX”を目指す「インターネットの夜明け」試写イベント

慶應大学の村井教授らも登場

「1981年、慶應義塾大学の研究室では小さな実験が行なわれようとしていた」というナレーションで試写イベントがスタート
 「1981年、慶應義塾大学の研究室では小さな実験が行なわれようとしていた」というナレーションで始まったドキュメンタリー映像作品「インターネットの夜明け」の試写イベント。この作品の企画・制作を担当したヤフーとブロードバンドタワー(BBTower)の両社が6日、共同制作発表会を兼ねて慶應義塾大学で開催した。

 「ニッポンの挑戦 インターネットの夜明け」は、日本のインターネット黎明期から現在までを前後編全24話で構成したドキュメンタリー映像作品だ。Yahoo! JAPANにて、前編が5月23日から6月30日まで、後編は7月1日から30日までの期間限定で無料配信される。配信形式はWindows Media、配信帯域は56kbps、300kbps、1Mbps。

 試写イベントでは、前編12話を15分程度にまとめたダイジェスト版を放映。前編では、1981年に慶應義塾大学で行なわれた「S&T net」の実験を描いた「和製ネットワーク登場」から、「商用IX誕生物語」として日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)設立する1997年までが映像化されている。


インターネット版プロジェクトXを目指す~BBTower大和田社長

ポスターを掲げるBBTowerの大和田社長(左)とヤフー喜多埜取締役最高執行責任者
 ヤフーに企画を持ち込んだというBBTowerの大和田廣樹代表取締役社長は「これまでもドラマなどを制作しているが、歴史を振り返る意味でもドキュメンタリーを作りたいと思った」とコメント。インフラ会社なのでインターネットを題材にしようとヤフーに相談したという。ヤフーの喜多埜裕明取締役最高執行責任者兼事業推進本部長も「4,000万人のユーザーがYahoo! JAPANを利用してくれるようになったのも、インフラとしてのインターネットを作ってくれた人がいたから」と、ドキュメンタリー作りに全面的に賛同したと語る。

 大和田氏によれば、インターネットの夜明けは「1年前から構想を温めていた」という。ただし、「ドラマの制作ノウハウはあっても、事実を積み重ねるドキュメンタリーのノウハウはBBTowerにはなかった」とコメント。「NHKスペシャルなどで実績のあるNHKエンタープライズと二人三脚で制作した。インターネット版プロジェクトXになれば」と期待感を表わした。


「4,000万人のユーザーがYahoo! JAPANを利用してくれるようになったのも、インフラとしてのインターネットを作ってくれた人がいたから」とヤフー喜多埜氏 BBTowerの大和田氏は「インターネット版プロジェクトXになれば」と期待を寄せる

村井教授、研究への情熱は「大嫌いなコンピュータ」への反発心

 作品に出演する慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授はインターネット黎明期を振り返り、「実績がないものだから、コンピュータ同士が繋がることの利点を納得させるのは大変だった」と語る。それでも精力的に研究活動を続けた理由は「コンピュータが大嫌いなこと」だった。

 「私の理想は、人間がコンピュータのご機嫌を伺うのではなく、コンピュータが人間の手助けをすること。コンピュータは、人間の創造性や自由の基盤にならなくてはならない。これを使いなさい、こうしなさいと押しつけるような技術は多い。研究活動を続けられたエネルギー源はそういう技術への反発心かもしれない。」

 インターネットを活用したビジネスについては「インターネットはインフラだから、お金を取りにくい。インターネットが本当に必要である、と説得力を持たなければならない」と指摘。そのために研究や実験で成果を出し、ビジネスマンへの説得力を高める必要があるという。「商業ISPが必要だということも結局、実験や研究の結果。本来はビジネスの仕事だが、我々も一緒になってプロトタイプを作った。また、その成果に対しては、ビジネス的な意思決定をする必要はある。研究がここまでで産業がここまで、という明確なバトンタッチはできない。重なり合いがないと革新的な研究はビジネスの側に理解されにくいだろう」。


精力的に研究活動を続けた理由に「コンピュータが大嫌いなこと」と答える村井教授 前編のダイジェストでは助手時代の映像も

出演・監修したインターネット総合研究所の藤原所長
 同じく作品に出演し、監修も行なっているインターネット総合研究所の藤原洋代表取締役所長はインターネットの今後について、「いつでもどこでも誰とでもというユビキタスに、ブロードバンド、モバイル、放送の3つのテクノロジーが融合する」と予測。また、「ユーザーが欲しいのはコンテンツ。テレビでいえば番組だ。ユーザーがコンテンツに対していくら支払うのかが重要。テレビ対インターネットという単純な図式ではない」との見解を示した。

 最後に大和田氏は「インターネットはドラえもんのポケット。ある映画監督はオンデマンド配信を指して『僕のために24時間365日開いている劇場がある』とまで言っている」とコメント。ソフトバンクの孫正義代表取締役社長などが出演するという7月1日から公開予定の後編については「取材はすでに終了しており、現在は編集作業中だ。期待してほしい」と述べた。


後編の予告も放映した 後編にはソフトバンクの孫正義代表取締役社長も登場

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.bbtower.co.jp/corp/press/2005/050225.html

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ドキュメンタリー番組「ニッポンの挑戦 インターネットの夜明け」配信(2005/02/25)


( 鷹木 創 )
2005/04/07 20:34

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