NECは31日、商用光ファイバを利用した量子暗号システムの実証実験で、世界最速となる量子暗号鍵の生成に成功したと発表した。
量子暗号システムでは、量子力学における不確定性原理により、光子の状態が測定前後で変化してしまうという普遍的な物理法則を利用して通信が盗聴されたことを検出する。このため、「いかなる技術の進歩に対しても無条件安全性を保証する暗号方式として注目されている」という。しかし、伝送路の遅延変動などによって長時間の安定動作が実現できなかったとしている。
今回の実験は、NECと科学技術振興機構(JST)が共同開発した「低雑音光子検出器」と「交互シフト位相変調方式」をベースにしたシステムで行なわれた。パワードコムのアクセス光ファイバ16.3kmを用いて24時間連続の実証実験を14日間以上行なった結果、平均量子誤り率7.5%、平均暗号鍵最終レート13.0kbpsを達成したという。生成した暗号鍵を用いたデータの暗号化通信にも成功した。
NECでは、屋外環境の商用光ファイバと一般のオフィスに設置した量子暗号システムによる環境で実験に成功したことで、「量子暗号技術が実験段階から実用化に大きく近付いた」としている。
関連情報
■URL
NEC
http://www.nec.co.jp/
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( 永沢 茂 )
2005/05/31 13:05
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