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欧州議会がソフトウェア特許に「NO」、条約の改正指令を大差で否決


 欧州議会は6日(欧州中央時間)、ソフトウェア関連発明の特許化を禁止している欧州特許条約を改正し、特許の対象とする改正指令(directive)に関する投票を行ない、賛成14票、反対648票、棄権18票で否決した。これにより、今回の改正案でのソフトウェア特許の実現はなくなった。

 欧州特許条約では、ソフトウェア(コンピュータプログラム)を明示的に特許としない対象(不特許事由)として条文に掲げている。しかし、Amazon.comのワンクリック特許などのコンピュータ関連の発明、特にビジネスメソッドと呼ばれる発明が米国をはじめ日本でも認められるようになり、必要とする大企業などの後押しもあって欧州でも不特許事由から外すことが試みられた。2000年頃にも改正の機運が高まっていたが、ロビイストの運動により廃案となった経緯がある。

 今回、事前の票読みでは採択される可能性は半々と見られていたが、最終的に大差で否決に傾いた。ソフトウェア特許は一部で廃止論も出るなど、特に中小企業にとっての弊害が指摘されることも多く、この傾向は欧州では顕著のようだ。

 その反面、特許が認められないと産業の発達に影響があるのも事実であり、欧州特許庁(EPO)などでは別の形でソフトウェア特許の実現を今後も目指していくことになると見られる。

 今回の改正指令の否決を受けてEPOは6日、コメントを発表した。ソフトウェア発明の特許化に関する今回の指令は世界的な流れを受けたものであり、否決されたことについて残念であるとの見解を暗に示している。

 EPOは、欧州特許条約(EPC)加盟31カ国(特殊形態の加盟国を含む)について特許査定までの手続を一手に引き受ける機関で、EPCの規定に基づいて行動している。今回の指令についてもEPOは基本的には受け入れることになる。

 一方でEPOではすでに実務上、ソフトウェアやプログラムの内容を実質的に特許化する実務が確立しているため、EPOレベルとしてはさほど問題ではない。今回の指令の目的の1つは、域内の各国特許庁レベルでの意見統一の意味も込めていた。


関連情報

URL
  欧州連合(英文)
  http://www.eu.int/index_en.htm
  欧州特許庁のニュースリリース(英文)
  http://www.european-patent-office.org/news/pressrel/2005_07_06_e.htm

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( Gana Hiyoshi )
2005/07/07 16:27

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