米オークション最大手のeBayが、ケンカや口論、紛争などをコンピュータ支援のもと自動的に解決するためのシステムに関する米国特許を出願中であることが明らかになった。
これは特許出願番号「20050171917」で「Automated cross-cultural conflict management」と題する特許出願だ。
eBayがこの種の特許を出願しているということは、オークションで出品者と落札者や関係者の間で生ずるトラブルを安価に解決するための方法を社内で模索していることを示している。
出願明細書では、最低でも2人の関係者が存在する問題が生じた場合に、第三者を交えた交渉(例えば裁判など)は不可能ではないものの、コストがかさんだリ、双方の文化的な背景に対する理解がない場合に解決策が不公平になる場合があると指摘。それに比べ、あらかじめ定められたアルゴリズムによる自動的な解決システムは、低コストで異なる文化的背景を持つ関係者の間の紛争解決に効果的だとしている。
このシステムでは、基本的に問題を最初に訴えた人と訴えられた人の間で関係する「要素」がシステムに登録される。システムに登録される「要素」には過去に受けた被害、将来受けるかもしれない被害、解決策に盛り込まれる将来のインセンティブ、関係者に要求したい処罰内容、さらには要求、申し出などの項目が含まれる。このようにして登録されたさまざまな要素に基づいて、システムは双方の間で繰り返し評価とコストのやりとりを行ない、最終的な解決に導くとしている。
オークションで生ずるトラブルは双方にとって非常に不愉快なものだが、不特定多数が集まる市場では避けられない問題でもある。それだけに、この種の問題を効果的に、しかも金銭的また感情的な被害を最小限に止める解決法が存在すれば、オークション市場はより安全な場所になり、需要も伸張すると考えられる。
この件についてeBayにコメントを求めたが、「この件についてはすでに公開した内容以上のことを進んで議論するつもりはない」との返答を得るにとどまった。特許出願中であるということは、将来eBayが出願を取り下げる可能性もあり、必ずしもeBayがこのようなシステムを開発していると断定できるわけではない。しかし、すべてのオークション業者が取引に関わる問題を解決するために、新しい手段を開発する必要に迫られているのは事実だろう。
関連情報
■URL
米USPTOに出願中の該当特許、英文
http://appft1.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO2&Sect2=HITOFF&p=1&u=%2Fnetahtml%2FPTO%2Fsearch-bool.html&r=1&f=G&l=50&co1=AND&d=PG01&s1=eBay.AS.&OS=AN/eBay&RS=AN/eBay
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/08/08 12:34
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