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マイクロソフトのビジネス戦略~Windows Vista、Office 12、Xbox 360

「Xbox 360には多くのリソースをつぎ込む」とテイラー常務

 マイクロソフトは8日、日本国内のビジネス&マーケティング部門における2005年度の進捗状況や2006年度の方針について説明した。同部門担当のアダム・テイラー執行役常務をはじめ、WindowsやOfficeなどの担当者が現在の状況や今後の方針を語った。

 マイクロソフトでは、2005年から2006年にかけて「Windows Vista」「Office 12」「SQL Server 2005」など新製品を発売する。OSやビジネスソフトに止まらず家庭用ゲーム機「Xbox 360」や、開発環境「Visual Studio 2005」などラインナップも豊富で、「この3年間で発売した製品の約3倍」(テイラー氏)という“実りの季節”を迎えることになる。テイラー氏は「特にXbox 360には、マイクロソフトの多くのリソースをつぎ込む。どのように日本で受け入れられるか、非常に楽しみだ」とコメントした。


アダム・テイラー執行役常務 Windows VistaやOffice 12、Xbox 360などの新製品を提供する

コンシューマ市場におけるWindows XP SP2の適用率は73%

サーバープラットフォームビジネス本部の梅田氏

Windows本部のジェイミソン本部長
 プラットフォームとしてのWindowsについて、「Linuxと比較してどちらが適しているかという、ある意味“宗教論争”的な議論はなくなりつつある」(サーバープラットフォームビジネス本部CSIリードの梅田成二氏)。LinuxのようなオープンソースのOSには、カスタマイズ性の高さなどの利点があるが、サポートは自己責任である場合が少なくない。一方、Windowsなどの商用OSはカスタマイズ性は低いが、公式のサポートを受けられる。最近では、こうした「トレードオフの関係」を考慮してOSを選択するユーザーが増えてきたという。

 Windowsのセキュリティについては、ブロードバンドが急速に進展する日本で、マイクロソフト全社を挙げての課題だったというWindows XP SP2の普及を例示。コンシューマ市場において現時点で、73%のWindows XPユーザーがSP2を適用しており、これは米国を抜いて世界一の適用率だ。Windows本部のジェイ・ジェイミソン本部長は「郵便局の全国ネットワークを利用して、CD-ROMの形でWindows XP SP2を配布したのは日本だけだ」と独自の工夫が奏功した点も強調した。

 開発が続けられているという新OSの「Windows Vista」に関しては、「大きなマイルストーン。情熱を持って取り組んでおり、発売までにソフトウェアベンダーやハードウェアベンダーとも問題が起きないよう準備を整える」(ジェイミソン氏)という。また、Windows Vistaとともにリリース予定のInternet Explorer 7は、セキュリティの強化とブラウジングの利便性向上を目指して開発を進めているとした。

 マイクロソフトでは2006年に、Windows XP Media Center Editionの新バージョンや64bit版Windowsを提供する予定だ。また、法人向けには新しいフォームファクタが開発されているTablet PC製品を提供するという。このほかサーバー製品においては、「SQL Server 2005」「Windows Server 2003 R2」「Windows Server 2003 Compute Cluster Edition」などを2005年から2006年にかけて順次リリースする。中小企業向けには、個人情報保護法などの法令に適応したインフラサーバー(コードネーム:Central)を2007年発売に向けて開発を進めている。

 なお、「Windows Server 2003 R2 Release Candidate 0 日本語版」が7日からダウンロード提供されている。無料で公開されているが、利用するには「Windows Server 2003 Enterprise Edition 180日間限定評価版」もしくは「Windows Server 2003 Enterprise x64 Edition 180日間限定評価版」が必要だ。


Office 12では、P2P方式のコラボレーション機能も

インフォメーションワーカービジネス本部の横井本部長
 インフォメーションワーカービジネス本部の横井伸好本部長は「1年間に作り出される情報量は5EB(エクサバイト)に達する。5EBとはいままでの歴史上、人類が話した全ての言葉、もしくは世界中の人類のゲノムデータの合計に相当する」として膨大な情報を扱うインフォメーションワークの重要性を指摘する。

 Officeシリーズは当初、表計算やワープロなど個人の生産性を高めるツールだったが、すでに「Microsoft Office Specialist」の認定者は100万人を超えており、「発売から10年かけてOfficeを使いこなすリテラシーが定着した」という。こうした環境の変化を受けて、個人だけでなくチームや組織全体の情報共有に注目した「Office 2003」を開発した。

 2006年秋の発売が予定されている「Office 12」では、さらにP2P方式のコラボレーション機能や「作成・利用・アーカイブ」といったコンテンツのライフサイクルを管理するツールを搭載する。ファイルフォーマットもXMLに統一する予定だ。

 2005年はWindowsが登場した1985年から20周年。テイラー氏は「マイクロソフトもまだ30周年の若い企業。今後出てくる製品で、新しいステップを踏み出す」と締めくくった。


関連情報

URL
  マイクロソフト
  http://www.microsoft.com/japan/
  Windows Server 2003 R2 Release Candidate 0 日本語版についてのニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2395

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( 鷹木 創 )
2005/09/07 19:54

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