シックス・アパートは29日、ブログツール「Movable Type」の最新バージョン「Movable Type 3.2」日本語版を正式リリースした。価格は基本ライセンスパックが31,500円から、個人ライセンスパックが8,820円から。すでに3.1を導入しているユーザーは無償でアップデートできる。
● スパム対策を中心に機能を拡充、携帯電話対応も視野に
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迷惑コメント・トラックバックの管理機能を拡充
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Movable Type 3.2日本語版は、9月9日より公開ベータテストを行なっており、今回の正式版と機能面での違いはない。ただし、公開ベータテストでユーザーから寄せられた不具合などを修正しているという。
コードネーム「SpamFighter」の名で開発された3.2ではスパム対策を中心に機能を拡充。スパム対策用の新プラグイン「SpamLookup」を標準搭載し、IPアドレスやドメイン名といった条件に基づいて一定のしきい値を超えたものを自動で「迷惑コメント・トラックバック」として判断する。スパムと判断されたコメントは一定期間が経過すると自動で削除される仕組みで、ユーザーが個別にスパム認定を外すこともできる。
スパム対策プラグインは他社製品の導入も可能で、3.2日本語版の公開に合わせて、ネットスターとの提携も発表された。ネットスターではMovable Type 3.2日本語版に対応したスパム対策プラグインを開発中であり、近日中に詳細を発表する予定だという。
コメント・トラックバックは即時公開や公開保留といった設定が可能になったほか、特定のユーザーのみコメントを受け付けるといった管理機能も搭載。パーマリンクもこれまでは自動生成していたものが、最大250文字の英数字でカスタマイズできるようになった。動的ページ生成機能も拡充され、新たにPostgreSQL、SQLiteといったデータベースをサポートする。
テンプレートデザインも見直され、ブログサービス「TypePad」と共通のテンプレートが利用可能になった。シックス・アパートの柳下剛利氏によれば、今回のテンプレート共通化はTypePadで実装されている携帯電話向け機能をMovable Typeで実装することを視野に入れたものだいう。柳下氏は「ASPサービスのTypePadと違い、Movable Typeは多岐にわたってデザインカスタマイズが施されているため、しっかりと検証する必要がある」とした上で、「段階的になるとは思うが、TypePadのサービスに満足いただけるようであれば、Movable Typeでも携帯電話への対応を進めていきたい」との方針を示した。
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Movable Type 3.2日本語版の管理画面
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標準搭載されたスパム対策プラグイン「SpamLookup」
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● ブログの普及に伴いスパム対策が大きな課題に
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左からシックス・アパートの関信浩代表取締役、米Six Apartのアニール・ダッシュ バイスプレジデント、バラック・バーコヴィッツCEO
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Movable Type 3.2日本語版の公開に合わせて開催された記者発表会には、米Six Apartのバラック・バーコヴィッツCEO、アニール・ダッシュバイスプレジデント、シックス・アパートの関信浩代表取締役が出席。バーコヴィッツCEOは3.2日本語版のリリースに関して「まずは2001年からMovable Typeを支え続けてくれているユーザーコミュニティに感謝したい」と述べた後、「特に日本ではユーザーによるローカライズも行なわれるほどで、法人分野でのブログ利用も日本が進んでいる」とコメント。今後は開発のベースを日本に置くとともに、技術開発のチーフを日本法人の技術執行担当役員である平田大治氏が務めるとの方針が示された。
バイスプレジデントのダッシュ氏は「日本での法人向けブログの普及は日本法人のシックス・アパートの力が大きい」と評価。「日本における法人ブログの普及により、これから法人ブログがどのように活用されていくのが見えてきた」との考えを示した。
関信浩代表取締役は、gooリサーチによるブログ調査のデータを引用し、「日本では92.5%がブログを認知しており、21.3%が実際にブログを開設」とコメント。pingサーバー「ping.bloggers.jp」に寄せられるping数も1年で10倍以上と急増しているほか、企業でのブログ導入も進むなど、日本ではブログが急速に普及しているという。
一方、ブログの普及に伴い、ブログのスパム問題も起こり始めていると関氏は指摘。「Movable Type 3.0のリリース時に実装したスパム対策は、当時それほど注目を集めなかったが、今では大きな問題になっている」とした上で、「シックス・アパートが1年半にわたって取り組んだスパム対策がMovable Type 3.2で実装されている」と語った。
今回のMovable Type 3.2は非常に多くの機能拡充が行なわれており、米国では「4.0としてリリースしてもよかったのではないか」との意見も寄せられているという。柳下氏は「Movable Typeのライセンスには、整数部分のバージョンが変わらなければ無償で提供すると謳われている」と説明、「非常に高まるスパム対策の要望に応えるために、今回は3.2を無償で提供した」との経緯を語った。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.sixapart.jp/press_releases/2005/09/29-1529.html
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( 甲斐祐樹 )
2005/09/29 19:56
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