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J:COM、ウィルコムと提携したJ:COM MOBILE提供でモバイル事業に参入


 ジュピターテレコム(J:COM)とウィルコムはモバイル事業で提携し、2006年3月をめどにJ:COMブランドによるPHSサービス「J:COM MOBILE(仮称)」を開始すると発表した。


ウィルコムの音声定額がベースのJ:COM MOBILE。データ定額の提供も

(写真左から)握手を交わすウィルコムの八剱社長とJ:COMの森泉社長
 J:COM MOBILEは、ウィルコムから提供を受けたPHS回線およびPHS端末を利用して提供されるサービス。音声通話サービスでは月額2,900円の「ウィルコム定額プラン」をベースにした料金メニューを用意。加えて、月額1,050円からの「データ定額」も提供していく考えだという。

 また、J:COMが提供する電話サービス「J:COM PHONE」など各サービスとバンドル契約時には基本料金の割引も行なわれるほか、利用料金も他サービスと一括請求される。具体的な月額料金は現在検討中とのことだが、J:COMによれば「バンドル割引の場合には月額2,900円よりも安く提供したい」という。なお、J:COM MOBILEの2台目以降の月額料金に関しては、月額2,200円のファミリーパックと同価格帯を検討しているとした。

 通話料金に関しては、J:COM MOBILEのユーザー間およびウィルコム定額プランユーザー間は無料。J:COM PHONEからJ:COM MOBILEへの通話は有料となるが、加入者間であれば月額263円で10,500円分の通話が可能な「とくとく・トーク」の適用対象。また、J:COM PHONEからJ:COM MOBILEへの通話は、月額料金内もしくはオプションとして定額通話プランを盛り込む考えだが、場合によっては定額上限を定める場合もあるという。一方、J:COM PHONEとウィルコム間の通話は、現行通り有料通話(平日昼間市内通話の場合で3分35.7)となる。

 なお、J:COM PHONEとJ:COM MOBILEの通話はサービス開始時点ではNTT網を経由する形で行なわれる。NTT網経由時のアクセスチャージは両社が負担する形になるが、両社では「今後は両社のネットワークをITXで接続して、アクセスチャージが発生しないように進めていく」という。


J:COM MOBILEのサービス概要 料金形態

J:COMロゴを施した端末イメージ
 2006年3月のサービス開始時には、ウィルコムが9月に発表した「WX300K」「WX310K」「WX310SA」「WX310J」のいずれか2端末をJ:COM MOBILEブランドとして提供される予定。J:COM MOBILE向けの専用端末に関しては、ウィルコムと共同で進めるアプリケーション開発の中で検討するという。

 なお、ウィルコムに現在加入しているユーザーがJ:COM MOBILEへ移行対応は現在検討を行なっているため、サービス開始時点ではウィルコムを解約して別番号でJ:COM MOBILEを利用する必要があるという。

 このほか、J:COMではウィルコムが開発したPHSモジュール「W-SIM」の活用した端末などを検討・構築する「WILLCOM コアモジュール フォーラム」へも、2005年12月の設立段階から加入する。


J:COM森泉社長「J:COM MOBILEでグランドスラムプレイサービスを実現」

 J:COMとウィルコムは、J:COM MOBILEの発表に合わせてサービス説明会を27日に開催した。

 J:COMの森泉知行代表取締役社長最高経営責任者は「多チャンネル放送サービス、インターネット接続サービス、電話サービスのトリプルプレイサービスに加えて、モバイルを加えたサービスを検討していた」と説明。今回のウィルコムとの提携によって、「他社に先駆けて、グランドスラムプレイサービスの提供が可能になった」と述べた。

 森泉社長は、グランドスラムプレイサービスの実現で、「商品力やユーザー満足度の向上」「バンドル率向上や解約率の低減、ARPUの継続的増加」「企業価値向上への寄与」が可能になると付け加えた。


J:COMの加藤取締役 モバイル事業開始に向けたJ:COMの狙い

 続いて登壇した、J:COMの加藤徹取締役 事業開発統轄部長はJ:COM MOBILEについて「固定とモバイルの融合サービスへの第1歩となるもの」と考えているという。サービス対象としては、J:COMが提供するサービスのうち、電話サービス「J:COM PHONE」との親和性が高いことから、「既存ユーザーに関してはJ:COM PHONEに加入する90万世帯に向けてマーケティング施策を実施していく」とし、新規ユーザーに関してはグランドスラムプレイサービスでの加入提案を図っていくとした。また、主なユーザー層は「J:COMを利用しているファミリー層が中心になるのではないか」と述べた。

 加藤氏は、今回ウィルコムとの提携を結んだ点に関して、「毎月の純増もありマーケットの成長が見込めるほか、通話品質における固定電話との親和性、定額サービスやサービスエリアでのメリットがあったため」と説明する。J:COM MOBILEのサービスエリアに関しては、「ウィルコムが展開するすべてのエリアで利用できる」と述べた。なお、J:COM MOBILE提供によるサービス全体のARPU上昇幅は「500円程度を考えているが、サービスに満足いただいて解約率が落ちるようならば十分な利益が上げられる」とした。


ウィルコム八剱社長「通信業界に画期的な1歩を記すサービス」

J:COMとの提携までの経緯
 ウィルコムの八剱洋一郎代表取締役社長は、「今回の発表は、日本の通信業界に関して画期的な1歩を記すサービス」と発言。「両社にとっても、業界にとっても非常に面白い革新的なアプローチである」点を強調した。

 提携理由として八剱氏は「J:COMは特定の携帯電話事業者と資本関係がない」「200万加入というユーザーを保有」「2,000人の個人向け直販・サービス部隊を持っている」点を挙げ、「ウィルコムから見て、非常に理想的な固定網のプレーヤー」だと考えているという。一方、「J:COMさんから見ても、当社は比較的独立してサービスを提供しているため、付き合いがやりやすい事業者と見ていただけたのではないか」と述べた。

 今後の提携内容としては、音声定額に加えて「フルブラウザを利用したJ:COMのWeb/メール/コンテンツとの連動」「AIR-EDGEサービスとJ:COMの連動」を進めていく。また、音声やデータを問わない発展型FMCの検討も行なっていくとした。

 八剱社長は「当社は昨日まで自分自身で商品をマーケットに売り込んでいたが、今回の提携のように今後は提携先ブランドで販売していくアプローチも行なっていく」と説明。加えて「提携企業のサービスをウィルコムが販売していくアプローチも考えられる」という。ただし、今回のJ:COMとの提携のように「親密なアプローチで提携する企業はそう多くはない」と付け加えた。

 最後に八剱社長は、「今回の発表を受けて本当の意味でFMCの第1歩」と述べるとともに、「J:COMさんはすでにトリプルプレイを実現されており、J:COM MOBILEによってグランドスラムで満塁ホームランプレイが可能になる」とコメントした。


提携先ブランドの商品をウィルコムでも提供を行なっていくという ウィルコムの加入者推移

関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.jcom.co.jp/pdf/newsrelease/ja/20051027_ja.pdf
  ジュピターテレコム
  http://www.jcom.co.jp/
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/

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( 村松健至 )
2005/10/27 20:08

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