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GroksterのWebサイトには声明文のみが掲載されている
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米レコード業界団体らがP2Pネットワーク運用会社の米Groksterとその関連企業を相手取って争っていた裁判で、GroksterがP2Pネットワークの運用を完全に停止することを条件に和解に達したことが7日、明らかになった。
この裁判では米最高裁で6月、Groksterが直接的・間接的に著作権侵害に加担しているとの判決が出されており、損害額などの算定のため下級審に差し戻しされていた。今回、レコード業界側とGroksterが和解に達したことにより、裁判所の受諾を受けてこの和解が発効することになる。
和解によってGroksterは、原告側のレコード業界に属する企業の著作権侵害を行なうことを全面的に禁止されることになる。和解条件には、Groksterクライアントアプリケーションの配布の即時停止とGroksterシステムおよびソフトウェア運用の即時停止が含まれている。
この和解を受けてGroksterはWebサイトに簡単な声明文を掲載し、「米最高裁は満場一致でこのサービスを使って著作物を取引することは違法であると確認した。著作権のある動画や音楽ファイルを認可されていないP2Pサービスによってコピーすることは違法であり、著作権者によって処罰される。音楽や映画をダウンロードするための合法的なサービスはほかにあるが、このサービスはそうではない」とレコード業界側の言い分を率直に認めている。また、Groksterクライアントを配布するためのリンクも削除された。その上でGroksterは「安全で合法的な」サービスである「Grokster3G」を発表する予定であることを明らかにし、そのサービスのサイトのURLを掲載している。
一方、米レコード業界の1つであるNational Music Publishers Association(NMPA)のDavid Israelite会長兼CEOは「合法的なインターネット上のエンターテイメントの環境が確立された今、Groksterのケースにおける最終的な勝者は、好きな音楽をより多くの方法で聴くためのオプションを得ることになった音楽ファンである」とコメントしている。
P2Pネットワークに対する法廷闘争は韓国、オーストラリア、台湾においてもレコード業界側が勝利している。今回、Groksterが運用を停止することによって趨勢はレコード業界側にあると言えそうだ。
関連情報
■URL
Grokster(英文)
http://www.grokster.com/
全米レコード協会のニュースリリース(英文)
http://www.riaa.com/news/newsletter/110705_2.asp
■関連記事
・ 米最高裁、P2P企業のGroksterらに著作権侵害の責任追求を認める逆転判決(2005/06/28)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2005/11/08 12:30
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