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またもやWinny上に原発の検査情報などが流出


 東京電力福島第1原子力発電所3号機や中部電力浜岡原子力発電所2号機、4号機の修理報告書や補修報告書などがWinny上に流出していることが7日、わかった。流出した報告書は極東ゴムが作成。同社では、毎日新聞からの情報提供を受けて作成した書類データがWinny上に流出していることを認識したという。


極東ゴムでは「2005年6月以降、Winnyを禁止していた」

 流出した書類データは全部で9種類。修理や補修に関わる点検報告書が4種類、社内向けの報告書が3種類、宿泊予定表と社内放射線管理台帳がそれぞれ1種類となっている。このうち、社内放射線管理台帳には、極東ゴムの従業員19名の住所や氏名、生年月日などのほか、過去に受けた健康診断の履歴なども掲載されていた。

 相次ぐWinnyによる情報流出に対しては、7月22日付で経済産業省の原子力安全・保安院が「ファイル交換ソフトの入ったPCは利用しない」「資料の持ち帰りには上司の了承を受ける」「持ち帰ったファイルは作業が終わったら削除する」「ファイルにパスワードをかけて流出しても閲覧できないようにする」といった情報管理規則を定めている。

 極東ゴムでは保安院の規則に先立ち、2005年6月に全従業員のPCをチェック。Winnyの使用を禁じたほか、業務情報の持ち出しや自宅PCの持ち込みも禁止しており、今回の情報流出についても「当社のデータであることは間違いないが、厳重に管理しており、Winnyやインターネットを通じた情報流出は考えられない」とコメントした。

 ただし、流出した情報は6月以前のもの。極東ゴムでは2003年以降、外部からのアクセスに対して制限を強めるなどセキュリティ対策を強化していたが、2005年6月以前については「Winnyをインストールしていた個人のPCが持ち込まれていた可能性は否定できない」という。


改正原子炉等規制法施行後、「核物質防護情報」流出に1年以下の懲役も

 保安院によると、今回流出した情報に「核物質防護情報」は含まれていない。核物質防護情報は、万が一流出した場合、テロ組織などによって核物質が盗難にあったり、原子力施設が破壊されてしまう恐れがあることから、安全保障上クリティカルな情報であるといえる。

 こうした致命的な情報が流出するのを防ぐために、2005年5月に「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)」が改正され、流出させた者に対して1年以下の懲役、100万円以下の罰金が科せられるようになった。改正原子炉等規制法は12月から施行される。

 とはいえ、Antinnyなどによるウイルス被害の場合は「流出させてしまった者もウイルスの被害者。情報の重要度にもよるが、法律による罰則で情報流出を担保するのは難しい」(保安院)としている。


関連情報

URL
  極東ゴム
  http://www.kyokuto-rubber.co.jp/
  原子力安全・保安院
  http://www.nisa.meti.go.jp/

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( 鷹木 創 )
2005/11/09 20:24

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