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青山商事、スーツの生産から販売までの工程をRFIDで管理 |
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今回の実験は、モノや場所に固有識別番号を付与するRFID「ucode」タグを約1,000着のスーツに貼り付けて、単品単位で管理するというもの。流通の各過程でucodeを読み取り、スーツの生産国や素材の情報、配送中の状況、店舗内の在庫情報などがユビキタスIDセンターや青山商事のサーバーに送信・蓄積される仕組みだ。 まず、中国の生産工場において、パッシブ型のucodeタグをスーツに取り付ける。その後、工場から出荷されたスーツは中国の流通センターやコンテナヤードを経て、日本までコンテナ船で輸送。コンテナヤードに届くと、流通センターを経由して「洋服の青山」店舗に配送される。物流の各段階ではスーツを単位ロットごとに識別するため、通信距離の長いアクティブタグを採用する。 ● 生産から販売店までRFIDで一括管理 RFIDタグには、電波を受け取ることで電力が供給されてIDを返信する「パッシブ型」と、電源を用いて動作して基地局とデータ通信を行なうことでIDを返信する「アクティブ型」がある。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所の坂村健所長は、「パッシブ型は、高速移動している際の読み取り精度が下がることがあるため、流通過程ではアクティブタグを採用した」と説明する。スーツは、輸送中の温度や湿度により、しわやあたりが出ることがあり、日本到着後にアイロンをかけ直すなどの補正作業が必要になるケースがある。アクティブ型のタグを搭載するセンサーでは、輸送中の温度、湿度、衝撃に関する情報を収集可能で、「どのコンテナのどの場所にあるスーツに問題があるかを特定できる」（坂村氏）ため、補正作業が必要かどうかの判断に役立つという。 店舗ではキオスク端末や「ユビキタスコミュニケータ（UC）」と呼ばれる携帯端末を通して、スーツの素材・縫製方法、スーツに合うワイシャツやネクタイなどの商品情報を提供する。UCは販売員向けにもカスタマイズできるため、販売員が接客時に利用することも可能だ。店舗側はucodeタグを用いて、スーツのサイズ、色別の在庫確認も行なえる。 なお、ucodeタグはスーツの裾に縫製されるブランドタグの裏側にシールで貼り付けられる。消費者は商品購入後でもリーダーを持っていればucodeから商品情報を入手できる。しかし、現時点ではucodeリーダーの普及が進んでいないことから、「QRコードをタグに貼り付けることも検討している」という。
● 実用化が見込めれば2007年にも全店舗に導入 今回の流通実験の期間は、2006年2月17日頃から2週間程度。また、店舗実験は「洋服の青山」池袋東口総本店で3月9日から3月15日にかけて行なわれる。青山商事の青山理社長によれば、「実用化が見込めれば、2007年にも全店舗における導入を図る」という。実験を導入した理由について青山社長は、「小売業は顧客満足度を高めることが大切。当社は店舗数が増えて続けており、ベテランの店員と比べると商品知識が浅いスタッフもいる。こうしたスタッフが接客時にucodeを利用して商品情報を説明できれば顧客満足度の向上につながると判断した」と話している。 坂村所長によれば、従来のRFID利用実験では、流通から店舗まで一貫して管理するケースはほとんどなかったという。「日本と外国間で、生産工場から店舗までの流通をカバーしたRFIDの実証実験は日本初」としている。また、ucodeタグの単価は10円程度。坂村所長は「タグのコストよりも、商品管理の効率化により、どのくらいの人員が削減できるかなどのメリットに着目してほしい」と語る。 関連情報 ■URL YRPユビキタス・ネットワーキング http://www.ubin.jp/ 青山商事 http://www.aoyama-syouji.co.jp/ ■関連記事 ・ 野菜だけでなく、畑や肥料も無線ICタグで管理～ユビキタスIDの実証実験（2004/01/08）
（ 増田 覚 ）
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