インターネットセキュリティシステムズ(ISS)は13日、報道関係者向けに2005年度の業績見通しと2006年度の戦略・製品ロードマップに関する説明会を開催した。
● 2005年度の業績予想、売上高は前年比19%増の53億600万円
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「2003年はISSにとって大きな転換点だった」と林社長
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2005年度の業績予想は、売上高が前年比19%増の53億600万円、経常利益が55%増の9億6,500万円、当期利益が62%増の5億9,000万円と成長する見込み。2005年度第3四半期の業績でも、売上高が前年同期比24%増の39億5,500万円、経常利益が89%増の7億5,400万円、当期利益が77%増の4億8,900万円と順調に推移した。
ISSでは1997年の設立以来、成長基調を維持していた。ただし、2003年に関しては売上高が2002年の39億6,700万円から4億円ほど減少し、35億6,400万円にとどまった。ISSの林界宏代表取締役社長は「2003年はISSにとって大きな転換点だった」という。それまでのソフトウェアや侵入検知システム(IDS)を中心に提供するビジネスから、アプライアンスや侵入防御システム(IPS)を中心に提供するビジネスに大きく舵を切ったのが2003年だった。
こうした決断が結果的に業績向上に結びついた。ISSのアプライアンス製品「Proventia」シリーズの販売台数は2005年第3四半期で前年同期比90台増の951台、売上高は4億9,200万円増の14億5,900万円とぞれぞれ増加。その中でも、IPSの機能を持つ「Proventia G」シリーズが8割を占めている。
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2003年の“転換点”を乗り越え、2005年には53億600万円の売上を見込む
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2005年の業績予想
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● 今後は支店向けのアプライアンスやVPSに注力、SOX法対応も
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オールインワンタイプのアプライアンス「Proventia M」シリーズの拡販に力を入れるという
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2006年度以降は、支店や事業所向けのアプライアンス「Proventia M」シリーズの拡販に力を入れるという。Proventia Mシリーズは、ウイルス対策やIPSなどがセットになったオールインワンタイプのアプライアンス。林社長は「安全だが高くて遅い専用線のころとは異なり、IPネットワークの場合は各支店のセキュリティも重要だ」と指摘する。
IP-VPNで全国規模のネットワークを展開している企業では、セキュリティ対策の重要性は本店と支店で違いはない。支店で発生したウイルス被害がネットワーク経由で感染を広げ、本店の業務に影響を及ぼすことも十分に考えられる。「とはいえ、各セキュリティベンダーに対策を依頼すると、支店ごとに1,000万円規模の投資が必要だということにもなりかねない。米国ではセキュリティ投資を予算の10%程度に抑えるという調査結果もあり、ベンダー側が買ってくれと言えば単純にユーザーが買ってくれる状況ではない」。そこで、ISSではIPネットワークでつながった支店や事業所向けに、1台20万円~100万円程度のProvintia Mシリーズを販売するという。
林社長はこのほか、12日に米国本社で発表のあった「Virus Prevention Technology(VPT)」を紹介。VPTはシステム上で仮想的にPC環境を構築し、その上でプログラムを活動させて振る舞いによってウイルスかどうかを判別する技術。いわゆるヒューリスティック技術の1つで誤検知の可能性もあるというが、ISSによれば未知のウイルスのうち、約93%の検知に成功したという。このVPTを採用した「Virus Protection System(VPS)」が2006年上半期にも登場する。
林社長は「VPSは振る舞いでウイルスかどうかを判断するので、シグネチャ方式による従来のウイルス対策ソフトのような定義ファイルの更新が不要だ。ユーザーにとっては、バージョンアップ費用が不要なことがメリットになるだろう」とコメントした。
また、国内でも2008年ごろ導入される予定のSOX(サーベンス・オクスレー)法に対応したアプライアンス製品も2006年第1四半期に投入する予定としている。
関連情報
■URL
インターネットセキュリティシステムズ
http://www.isskk.co.jp/
Virus Prevention Technologyのニュースリリース(英文)
http://www.iss.net/issEn/delivery/prdetail.jsp?type=&oid=29309
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( 鷹木 創 )
2005/12/14 16:17
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