文化庁の文化審議会著作権分科会は12日、私的録音録画補償金制度の見直しなどについて検討した結果を報告書としてまとめた。下部組織の法制問題委員会が2005年12月にまとめた報告書案から大きな変更はなく、iPodなどのデジタルオーディオプレーヤーを補償金制度の対象とする、いわゆる“iPod課金”については、現時点では見送るという結論となった。
私的録音録画補償金制度は、政令によって定められたデジタル方式による録音・録画に対して、補償金を著作権者に支払うことを定めたもの。日本では1993年に開始され、MDやCD-Rなどが制度の対象となっており、媒体や機器の価格に応じて補償金が徴収される。徴収された補償金は、社団法人私的録音補償金管理協会により補償金全体の最大20%が共通目的基金として使われ、残りがJASRACなどの著作権団体に配分される。
著作権分科会では、この私的録音録画補償金制度について、デジタルオーディオプレーヤーなどを制度の対象とするかについて議論が行なわれた。iPodなども制度の対象とすべきという意見に対して、補償金制度の廃止も視野に入れて制度そのものを見直すべきといった反対意見も出たため、分科会の報告書としては「実態を踏まえて検討する」という結論となり、現時点での課金は見送られる結果となった。
また、PC用のハードディスクやデータ用CD-Rなどの汎用機器・記録媒体を課金対象とすることについても、録音や録画を行なわない購入者からも強制的に一律に課金することになり、課金対象を無制限に拡大することにつながるといった反対意見が多数であったとして、今後実態を踏まえて検討するとしている。
報告書では、私的録音・録画についての抜本的な見直しのほか、補償金制度についても廃止や他の制度の導入も視野に入れて検討する必要があり、2007年度中には一定の結論を出すべきとしている。
関連情報
■URL
文化審議会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/
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( 三柳英樹 )
2006/01/12 18:05
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