トレンドマイクロは9日、2006年4月度の「ウイルス被害感染レポート」を発表した。日本国内のウイルス感染被害の総報告数は7,039件で、3月の6,993件からほとんど変わらなかった。新種ウイルスでは、P2Pファイル共有ソフトの「Winny」と「Share」を介して感染する「WORM_ANTINNY.BJ」が報告されている。
被害件数のランキングでは、ポップアップ広告の表示などを行なうスパイウェア「SPYW_GATOR」の333件が先月に続いて1位となった。以下は、アドウェア「ADW_NDOTNET.O」の179件、ボットの亜種「WORM_RBOT」の77件と続いた。
ランキング圏外から上昇した2位のADW_NDOTNET.Oは、ポップアップ広告を表示するアドウェア。フリーソフトをダウンロードしたり、Webサイトの閲覧時に使用許諾契約書を表示した上でインストールされる。このアドウェアの製造元が提供するWebサイトにリダイレクトする機能を備えている。
また、4月にはWinnyとは別のP2Pファイル共有ソフトであるShareを悪用するウイルスWORM_ANTINNY.BJが登場した。このウイルスは、WinnyとShareの双方で感染を広げることが可能で、実行されると、エラーメッセージを装った「無効なポインタ操作」という日本語のダイアログを表示する。感染したPC内のファイルを共有ネットワーク上にアップロードするなどの被害をもたらす。
Shareが持つファイル共有機能を利用する初のウイルスは、2006年1月に発見された「WORM_ANTINNY.AW」とされる。これは、感染したPCでWinnyやShareを使用するとファイル名にドクロマークが表示されることから、インターネット掲示板上では「ドクロウイルス」と呼ばれていた。
トレンドマイクロでは、「Shareを悪用するウイルスが今後増えることが懸念されるが、必ずしもファイル共有ソフトだけに注意すれば安全ということではない。あるソフトウェアやツールがポピュラーになり、ユーザーが増えるほどウイルスに狙われやすくなるという傾向は、コンピュータウイルスが登場した20年前以上から変わらない」として注意を呼びかけている。
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■URL
ニュースリリース
http://www.trendmicro.com/jp/security/report/report/archive/2006/mvr060509.htm
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( 増田 覚 )
2006/05/09 13:30
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