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KDDI株主総会、顧客情報流出への質問が相次ぐ


小野寺正代表取締役社長兼会長
 15日、都内でKDDIの株主総会が開催された。同社代表取締役社長兼会長の小野寺正氏をはじめとする同社の経営陣が揃い、株主に向けて同社の施策などを説明した。

 冒頭、小野寺氏は、13日に発表した顧客情報の流出について、あらためて報告と謝罪を行なった。同氏は「DIONユーザーの情報が外部に流出し、多大な迷惑と心配をかけたことをお詫びする。再発防止のために、体制の総点検および全容解明に努めている」と語った。

 質疑応答の際には、株主から情報流出に関する質問が連続して投げかけられた。ある株主は「組織として欠陥があったのではないか、今後の対策はどうする?」と質したほか、別の株主は「顧客情報の流出に対して責任の所在を明確にする必要があるのではないか。どのような体制で本件に取り組むのか」と説明を求めた。

 これに対し、小野寺氏は「当時としては対策を講じていたつもりだったが、結果として不十分だった。流出の可能性として、ホストコンピュータにつながるマシンは、通常のパソコンであり、HDDが存在し、外部メモリも装着できるものだった。これが要因の1つだ、と考えている。今年に入ってからは、HDDを備えない端末、いわゆるシンクライアントに置き換えている。また、入退場システムも当時はICカードだったが、現在は指紋認証を導入した。セキュリティ対策は強化してきたが、もう一度全面的な見直しを始めたところ。今後も十分対応していきたい。一方、技術的、物理的な対策だけで良いのか。悪意があれば情報が持ち出されてしまう可能性はある。社員に対する教育など人的な面でも対策していく」とあらためて説明した。

 このほか、金融庁からの行政処分により業務を停止する中央青山監査法人との契約について、小野寺氏は「当社に対する監査は厳正であり、財務内容は適性に開示されていると考えている。業務停止前の6月末までは中央青山との契約は継続留方針だが、7月以降については、慎重に検討を進める」と述べた。また、同社の年金基金が、いわゆる村上ファンドで運営されていたについて、株主から質問される場面も見られた。これに対して小野寺氏は「村上ファンドを一時利用していたが、現在は解約している。なお、KDDI本体とは別法人として年金を運用しており、詳細は別の場でお話したい」と語った。


事業内容について

両角寛文取締役執行役員常務
 4月下旬に発表された決算内容があらためて説明され、株主からは同社の事業内容について問う声もあがった。

 まずau事業について「携帯電話の動向としては、今後大きな需要は見込めないのではないか。au事業に支えられている状況だが、携帯への依存度を下げていく施策は採るのか?」と質問されると、小野寺氏は「特に利益は携帯電話事業に依存しているのは事実。これまでの流れを見ると、携帯電話は個人ユーザーが大勢を占めていたが、今後は法人向けに注力することで、人口の上限に囚われることなく、成長したい」と携帯電話事業の成長性をアピールした。

 今秋スタート予定の番号ポータビリティ制については、同社取締役執行役員常務の両角寛文氏が説明を行なった。同氏は「いかに使いやすいサービスか、というところがポイント。既に利用手順は案内しているが、ハードルが低い制度になっている。当社としては、手続きにかかる時間をより短時間で行ない、手数料についても検討中ではあるが、ユーザーの負担を少なくすることで利用促進を図りたい。auにとってはシェアを拡大する千載一遇のチャンス」と意欲を見せた。

 両角氏は、「スタート日は議論中だが、auとしては総合的な商品力でシェアを一気に拡大する決意。端末については、さらにラインナップを充実させて、豊富に投入したい。LISMOなどサービスの充実も考えている。2006年度の純増数は400万と見込まれているが、auとしてそのうち340万を占めたい。ツーカーの分を差し引いて、KDDIとしては200万の純増を確保するつもりだ」とも述べ、競争力を向上させる姿勢を見せた。

 もう1つの柱である固定事業の戦略について、小野寺氏は「かつて当社ではマイラインしか提供していなかったが、NTTの回線を利用する他社依存型だった。これを改善すべく、IP化を進めており、特にメタルプラスについては来年度に黒字化を見込んでいる。パワードコムとの合併で売上も増加しており、携帯と固定という両輪を成長させたい」と述べた。

 パワードコムとの合併について質問されると、同社執行役員でソリューション事業統轄本部長の田中 孝司氏が壇上に立ち、「合併から6カ月、両社社員はうまく融合しつつある。両社の統合により、より強力な商品群が提供でき、営業力の向上も見込める。また、自前の回線でサービス提供できるようになる」と説明した。

 総務大臣による「通信・放送の在り方に関する懇談会」から最終報告書が提出されたことについて尋ねられると、小野寺氏は「当社としては、基本的に公正競争条件を定めて欲しいと求めている。その方向性、基本線は我々と(報告書は)同じ考え。放送関連では、IPマルチキャストでの地上波再送信について、ケーブルテレビと同等の扱いを求めてきたが、報告書では受け入れられている」と述べ、歓迎の意向を表わした。

 株主総会は、取締役の改選やストックオプションの取り扱いなどに関する議案を可決し、閉会した。


関連情報

URL
  KDDI
  http://www.kddi.com/

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( 関口 聖 )
2006/06/15 16:50

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