ソフトバンクは8日、2007年3月期第1四半期(2006年4月~6月)の連結決算を発表した。5月からボーダフォンが連結対象となり、移動体通信事業の売上高2,315億円が計上されたことで、連結の売上高は前年同期比2,355億円増の4,942億円に達した。
● 先行投資は終わり、確実に利益を出せる段階に
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ソフトバンクの孫正義代表取締役社長
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営業利益は前年同期比575億円増の543億円、当期純利益は同125億円の14億円で、ともに前年同期の赤字から黒字に転じた。EBITDA(減価償却前営業利益)ベースでは、同848億円増の1,043億円に達し、孫正義代表取締役社長は「先行投資を終え、確実に利益を出せるところまで実績が改善した」と評価した。
連結業績の売上高内訳は、移動体通信事業が2,315億円と過半数を占めたほか、ブロードバンド・インフラ事業が627億円、日本テレコムなどの固定通信事業が818億円、ヤフーなどのインターネット・カルチャー事業が444億円、イーコマース事業が558億円など。連結業績の営業利益は543億円。内訳では移動体通信事業が272億円で、売上高と同様に半分近い割合を占めた。
なお、移動体通信事業の加入者は1,524万契約で、うち2G加入者は1,152万契約、3G加入者は371万契約。ボーダフォンは3Gへの展開が遅れていると指摘されているが、「2Gから3Gへの移行は順調。今後も、よりARPU(1ユーザーあたりの平均月収入)が高い3Gに注力する」とした。
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連結業績
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連結売上高推移
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連結営業利益推移(四半期)
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移動体通信事業・主要データ(四半期推移)
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● 移動体通信の主役はドコモではなくソフトバンク
孫社長は、買収したボーダフォンについて「良いタイミングで良い会社を買収できて、まさに千載一遇のチャンスだった」と評価。「3Gネットワークの強化」「3G端末の充実」「コンテンツ強化」「営業体制/ブランド強化」という4つの課題を解消することで、「NTTドコモやKDDIと十分戦えると感じるようになった」と述べた。
「4年半の先行投資を経て黒字化したYahoo! BBによるブロードバンド事業は、すべてがゼロからのスタートだった。日本テレコムの固定通信も1年半の先行投資を経て、今では黒字化した。それと比べると、移動体通信事業はすでに黒字化している。ナローバンドの時代では、ISPといえばNifty、インターネット接続ではNTTがトップだったが、今ではポータルサイトといえばYahoo! JAPAN、ADSL接続といえばYahoo! BBとなった。移動体通信でも、トップのNTTドコモに代わりソフトバンクが主役となる」
今後の移動体通信事業では、「携帯電話番号ポータビリティ(MNP)」関連費用や、ボーダフォンからソフトバンクへのブランド変更費用に投資するほか、年度内に3G基地局を4万6,000まで増やすなど、第2、第3四半期にかけて先行投資を行なう。ただし、「大人のソフトバンクが最近のキーワード」とし、「赤字にならない程度で、あまり無茶をするつもりはない」とコメントした。
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ブロードバンド・インフラ、固定通信、移動体通信の黒字化への道
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ISP、インターネット接続に続き、移動体通信でもトップを目指すという
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● “ネットただ乗り論”は時代に逆行した考え方
また、ソフトバンクのバックボーンについて孫社長は、「2001年にフルIPネットワークを構築済み」とし、NTTが掲げている次世代ネットワークと同じことを、すでに5年前に終えたとアピール。今後このIPネットワークは、日本テレコムやボーダフォンのネットワークに完全統合する考えを示した。
最近では、コンテンツプロバイダーが通信事業者のコストを圧迫しているとする“インフラただ乗り論”が話題になっているが、これについて「時代に逆行した考え方」と反論し、「我々のIPバックボーンで好きなだけブロードバンドを楽しんでもらいたい」との考えを披露した。
関連情報
■URL
2007年3月期 第1四半期財務・業績の概況(PDF)
https://www.softbank.co.jp/irlibrary/results/pdf/softbank_results_2007q1_001.pdf
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( 増田 覚 )
2006/08/08 20:55
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