総務省は5日、「ユビキタスネット社会の制度問題検討会報告書」を公表した。8日には同省のWebサイトにも掲載した。
総務省は、2004年12月に公表した「u-Japan政策」において、ユビキタスネット社会の進展に伴い問題となり得る「影の部分」への対応について「100の個別課題」として盛り込んだ。今回の報告書は、この「100の個別課題」をベースに、その後の環境の変化を踏まえて新たに注視すべき課題や対応の必要性が高まってきた課題をとりまとめたもの。総務省の「ユビキタスネット社会の制度問題検討会」が2006年2月から7月にかけて検討した。
報告書では、新たに注視すべき課題として「スパイウェア等の新たなマルウェアに対する問題」「P2Pファイル交換ソフトに関する問題」「ボットネットに関する問題」などを挙げている。また、対応の必要性が高まってきた課題としては「モニタリング及び個人追跡(トレーシング)に関する問題」「『情報セキュリティ』の法制に関する問題」を挙げている。
さらに報告書では、「100の個別課題」の修正案も参考として示した。これによると、ウイルス等への対応として「移動体端末におけるセキュリティの確保」、違法・有害コンテンツや迷惑通信への対応として「発信者の匿名性に関する対応」といった項目を新たに盛り込む案を示している。
匿名性については、掲示板の管理者などによる自主的取り組みによっては対応が十分になされず、その原因が発信者の匿名性にあると認められる場合に、「真に問題となっている匿名性の種類を見極めた上で、技術的な対応可能性や実効性、匿名での表現の自由、通信の秘密との関係等を十分に考慮に入れつつ、慎重に対応を検討することが適当」としている。
総務省では、この報告書を受けて、ユビキタスネット社会の「影の部分」に適切に対応するための検討を引き続き進めていくとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060905_5.html
ユビキタスネット社会の制度問題検討会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/y-net_seido/
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( 永沢 茂 )
2006/09/08 19:54
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