中国のソフトベンダーであるキングソフトは21日、オフィスソフト「キングソフトオフィス2007 日本語版」を発表した。同日、日本におけるオフィスソフト事業参入と今後の展開について記者発表会を行なった。
● MS Officeとの互換性を重視
キングソフトオフィス2007は、中国で「WPS Office」として販売している製品の日本語対応版。ワープロソフト「Kingsoft Writer」、表計算ソフト「Kingsoft Spreadsheets」、プレゼンテーションソフト「Kingsoft Presentation」の3製品を用意する。対応OSはWindows Vista/XP/2000。
価格は、3製品セットの「Standard」が4,980円、ワープロと表計算をセットにした「Personal」が3,480円。単品販売の場合は各1,980円となっている。提供はダウンロードのみで、11月1日からベータ版を無償公開し、2007年1月から正式版を販売する。なお、ベータ版は2007年3月末日まで利用可能だ。
キングソフトオフィス2007は、「Microsoft Office」との互換性を重視すると同時に、独自機能も搭載しているという。互換機能としては、Word/Excel/PowerPointで作成されたファイルを開いた時の再現性や、印刷したとき起こる文字・段落・画像のズレを軽減した。また、ツールバーの機能や並び順もMicrosoft Officeとほぼ同様だという。doc/xls/ppt形式での保存・修正にも対応する。
独自機能としては、複数のファイルのタブ表示やPDF出力、追加パッチ等の自動アップデート機能を備える。またセキュリティー機能として、キングソフト独自のKRM暗号化技術を採用。ファイルにパスワードを付けて管理できるほか、Word/Excel/PowerPointのパスワード付きファイルもデコード可能。さらにソフトの容量を縮小し、ダウンロードサイズ31M、インストール時87Mに抑えている。
キングソフト代表取締役の広沢一郎氏は、「オフィスソフト市場においてデファクトスタンダードとなったMicrosoft Officeからシェアを獲得するには、独自路線では難しい。そこで互換路線を行くことにした」とコメント。Word/Excel/PowerPointの各ファイルをキングソフトオフィスで開いた例を披露し、他社製品にはない互換性の高さをアピールした。
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「起死回生の社運をかけたソフト」と語る広沢氏
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MS Officeファイルを開いた時の再現性の例
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操作ウインドウ内の項目も似ている
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● 日本市場のシェア拡大を狙う
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「日本でメジャーのソフトウェアメーカーになって上位を目指す」と語る雷軍氏
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中国キングソフト社は、オフィスソフト・セキュリティ対策ソフト・オンラインゲームといった3事業を主に展開している。
同社CEOの雷軍氏によると、「WPS Officeは、1988年の発表以来、中国において95%のシェアを持っていたが、マイクロソフト社が参入してからは減少し、10%まで下がった。WPS 2005からは回復傾向にあり、現在は20%のシェアを持っている」と説明した。
また、「キングソフトインターネットセキュリティは、中国で2,000万人のユーザーを有するほか、オンラインゲーム『剣侠情縁2』はオープンベータテストで同時アクセス者数30万件、有料ユーザーでは16万件を突破した」(雷軍氏)という。
キングソフトは、日本、ベトナム、台湾、マレーシアで国際展開している。雷軍氏は、「2006年8月には、GIC、intel、New Horizonとった企業から第三者割当増資を受け、7,200万USドルの増資が決定した。この資金により、技術開発や国際展開を充実していきたい」と述べ、「日本のユーザーに高品質で安価なソフトを提供することで、日本市場の上位シェアを目指す」とした。
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中華人民共和国駐日本国大使館、科学技術担当者のラン・チャンピン氏
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「キングソフトの成功によって、より多くの中国企業が日本に進出し、日本の情報産業との協力関係を深め、共に発展していきたい」と語ったチャンピン氏
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左から、キングソフト代表取締役の広沢一郎氏、中国キングソフトCEOの雷軍氏、同WPS事業責任者の葛珂氏、同国際業務責任者の張文兵氏
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.kingsoft.jp/release/06092101.htm
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( 野津 誠 )
2006/09/21 21:31
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