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KDDIが中間決算を発表。固定通信事業は赤字幅を縮小し、今後はFTTHを中心に


決算の概要
 KDDIは20日、2006年度中間期(4月~9月)の連結決算を発表した。売上高は1兆6,048億円(前年同期比9.3%増)、営業利益は2,295億円(37.7%増)、経常利益は2,273億円(37.8%増)、当期純利益は1,360億円(34.1%増)だった。売上高、利益ともに過去最高水準で、中間期では初めて営業利益が2,000億円を上回ったという。

 事業別に見ると、移動通信事業は売上高が1兆2,834億円(前年同期比5.7%増)、営業利益が2,428億円(23.9%増)、経常利益が2,446億円(25.9%増)、当期純利益が1,448億円(22.8%増)。一方、固定通信事業は売上高が3,624億円(26.6%増)、営業損失が168億円、経常損失が173億円、当期純損失が85億円だった。移動通信事業が引き続き好調で、固定通信事業についても赤字幅が縮小傾向にある。


メタルプラスの黒字化にめど、今後はFTTHを事業の中心に

FTTH事業への取り組み
 固定通信事業については、直収電話サービス「メタルプラス」の契約数が244万件となり、メタルプラスの拡販により音声サービスの売上も好転。また、収益改善も進み、来年度には黒字化できる見通しが立ったとした。

 これによりKDDIでは今後、固定通信事業についてはFTTHに軸足を移し、FTTHサービス「ひかりone」の拡販を進めていくとしている。FTTH事業については、10月12日に東京電力との間で事業統合に合意。東京電力のFTTH事業部門が、2007年1月にKDDIに統合される。

 決算会見でKDDIの小野寺正代表取締役社長兼会長は、「今期末までは基本的にメタルプラスもやるが、それ以上に今後はFTTHに軸足を移していく」とコメント。KDDIはこれまでFTTHの事業展開については慎重な姿勢を保ってきたが、「メタルプラスから展開した理由は、FTTHの需要という問題もあったが、NTTが基本料金を独占しているという問題もあり、メタルプラスの方が早期に黒字化できると考えた。また、メタルプラスで構築したバックボーンはひかりoneでも使っていく。メタルプラスは来年度の黒字化が見通せており、そういう意味ではほぼ思惑通りに行っていると思う」とコメントした。


Googleの導入でEZwebの検索件数が増加、検索連動広告は「今後も伸びると期待」

 売上の大半を占める移動通信事業については、10月24日に携帯電話番号ポータビリティ制度(MNP)の開始を控え、秋冬モデル14機種の投入やテレビCMなどの広告宣伝を実施。9月から開始したMNPの事前予約については、具体的な数字は公表しなかったが、予想の範囲内で推移しているとした。

 MNPの開始により、どの程度のユーザーが移動するのかという見通しについて小野寺社長は、「MNPはずっと続くもので、短期での見通しには意味がない。年間契約の方などは、契約の期限を待って移行しようと考えるのが自然。1年あるいは2年ほど経たないと、MNPの影響は見極められない。ただし、携帯電話利用者全体の5%がMNPを利用したとしても約450万人となり、近年の純増数と比べてかなり多い。そういう意味で、MNPは大きなチャンスであると考えている」とした。

 Googleとの提携により、7月からEZwebのトップメニューにGoogle検索を導入した効果については、検索利用件数が増加したほか、EZwebの広告売上も3割増加したという。小野寺社長は、「Googleによって明らかに検索の件数が増えてきており、検索によってEZwebの公式サイトへの誘導も増えている。それ以上に大きいのはGoogleの検索連動広告の伸びで、今後もこの部分は増えていくと思う」と語った。


Google導入後の効果。一般サイトだけでなく、EZweb公式サイトへの誘導も増加 Googleの検索連動広告によりEZwebの広告売上も3割増

ワンセグは災害時に有効、通信時間への影響は「心配するほどではないかも」

KDDIの小野寺正代表取締役社長兼会長
 また、ワンセグ放送への対応については「他社よりも積極的に進めていると思う」として、「放送と通信の融合という意味では、最も有効なのは災害時だと考えている。災害時に通信回線が逼迫したとしても、放送があれば被災した人も情報を確認できる」とコメント。ワンセグはチップセットの価格や消費電力も下がっており、顧客の要望があれば端末に標準搭載する方向も検討していきたいとした。

 一方、放送機能の搭載により電話としての利用が減ることを懸念していないのかという質問には、「心配していないと言えば嘘になる」と前置きしつつも、「Googleの検索結果からは、テレビ番組の放送直後にその内容を検索するといった利用形態も見える。我々が心配していたような、ワンセグを見る時間が長くなると通信が使われる時間が短くなるというのは、それほど大きな影響は無いのかも知れない」とコメントした。


関連情報

URL
  KDDI投資家情報
  http://www.kddi.com/corporate/ir/index.html

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( 三柳英樹 )
2006/10/20 19:44

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