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OP25Bは利用者の同意なしでは「通信の秘密」の侵害、ただし正当業務行為

「利用者の同意の有無にかかわらず実施が可能」総務省が見解

 総務省は14日、「Outbound Port 25 Blocking(OP25B)」や送信ドメイン認証技術など、ISPが導入している迷惑メール対策技術の法的留意点をとりまとめた。電気通信事業法に規定される「通信の秘密」との関係が問題視されていたこれらの迷惑メール対策技術について、総務省は正当業務行為と解釈し、利用者の同意の有無にかかわらず実施できるとの見解を示した。

 同日発表した「特定電子メール等による電子メールの送受信上の支障の防止に資する技術の研究開発及び電子メールに係る役務を提供する電気通信事業者によるその導入の状況」という文書で明らかにされた。

 OP25Bは、ISPが提供するメールサーバーを経由せずに送信しようとするメールのトラフィック(SMTPが使用するTCP 25番ポート)を遮断するもの。実施にあたっては、利用者のIPアドレスなどを確認するため、電気通信事業法における「通信の秘密」の侵害に該当するという指摘もあった。

 これについて総務省は、「特定の通信に関する送信元IPアドレス及びポート番号という通信の秘密を知得し、かつ、当該通信の秘密を、当該メールの接続拒否という送信者の意志に反して利用していることから、当時者の同意を得ない限り、『通信の秘密』を『侵す行為』に該当する」とする一方で、目的の正当性や必要性、手段の相当性から「正当業務行為(違法性阻却事由あり)と解釈できる」とし、当事者の同意の有無にかかわらずOP25Bを実施できるとしている。

 また、メール送信元のサーバー情報を受信側で認証する送信ドメイン認証技術や、ISPのメールサーバーを経由せずに動的IPアドレスから送られてくるメールを遮断する「Inbound Port 25 Blocking(IP25B)」でも、送信元ドメインやIPアドレスを確認するため、電気通信事業法の「通信の秘密」との関係が問題視されていた。総務省はこれらの迷惑メール対策技術についても、OP25Bの場合と同様の理由で、利用者の同意の有無にかかわらず実施可能としている。

 このほか、迷惑メール対策技術の導入状況についても触れている。それによれば、携帯電話各社は、自社の利用者が送信するメールの発信元IPアドレスを明らかにする送信ドメイン認証技術の導入を進めているほか、ISPではOP25Bの導入が進展しているという。OP25Bについては、迷惑メールに対する技術的解決策を検討する民間団体「JEAG(Japan Email Anti-Abuse Group)」の提言書で推奨されていることなどから、ISPにおける導入が進んでいるとしている。

[お詫びと訂正 2006/11/15 20:00]
 記事初出時、見出しにおいて「OP25Bは『通信の秘密』の侵害に該当せず」と記述しておりましたが、誤りでした。当事者の同意を得ない限り、「通信の秘密」を侵す行為に該当します。ただし、総務省によれば、正当な業務(違法性阻却事由がある)と解釈しています。お詫びして訂正いたします。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/061114_1.html

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ISPが迷惑メールを受信時に排除することは「通信の秘密」の侵害か?(2006/05/16)


( 増田 覚 )
2006/11/14 21:07

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