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楽天の第3四半期決算、クレジット事業譲渡に伴う損失で大幅減益


「将来に向けて血を流す部分もあった」と決算を振り返る三木谷社長
 楽天は16日、2006年度第3四半期(7月~9月)の連結決算を発表した。売上高は477億9,200万円(前年同期比5.7%増)だったものの、営業損失が16億3,800万円(前年同期は営業利益83億9,100万円)、経常損失が21億9,800万円(同経常利益は130億4,200万円)、当期純損失が158億2,300万円(同当期純利益は60億1,300万円)と赤字に転落。信販子会社の楽天KCのクレジット事業譲渡に伴う損失などが影響した。

 事業別の通期売上高では、中核となるEC事業が141億9,800万円(前年同期比73.5%増)、トラベル事業が29億4,700万円(同50.2%増)と順調に推移した。その一方で、クレジット・ペイメント事業は183億8,700万円(同21.5%減)と大幅に減少。同事業では、楽天KCのクレジット事業をオリエントコーポレーションに譲渡したことよる損失に加え、貸倒引当金や利息返還損失引当金繰入額で、合計約293億円の特別損失を計上した。そのほか、ポータル・メディア事業は31億5,300万円(同17.4%増)、証券事業は82億6,700万円(同19.9%増)、プロスポーツ事業は26億4,800万円(同5.2%減)だった。

 楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、「EC事業は順調に成長したが、楽天KCの事業再構築に伴う損失など、将来に向けて血を流す部分もあった。しかし、今回の損失はあくまで一過性のものであり、広告宣伝や販売促進費、求人費を削減するなど、収益性を改善する施策も開始していることから、第4四半期にはV字回復が可能」と強調した。

 同社では11月から収益性を追求するためにグロースマネジメントプログラム(GMP)という新たな制度を開始している。社内体制ではカンパニー制を廃止し、事業単位のビジネスユニット(BU)制に移行。従来の6カンパニーから38BUに変更することで、フラットな組織作りを目指すという。財務やマーケティング、プロデュース(開発および編成機能)、バックオフィス業務などの各BU共通の重要な機能については、全体を見渡せる担当者を選任することでノウハウを共有する。


連結売上高の推移 前四半期と比較した営業利益

API公開で「楽天経済圏」を発展させる

 今後の戦略については、「Web 2.0対応」をテーマに掲げる。具体的には来年以降、楽天のサービスのAPIを公開することで、楽天市場や楽天トラベルなどの各サービスにユーザーを呼び込む。三木谷社長は、「楽天はトラフィックをお金に換える仕組みを持っているのが、他のWeb 2.0企業と違うところ」と述べ、API公開により楽天の各サービスで構成される「楽天経済圏」が発展すると狙いを語った。

 また、来春には銀行業務が開始できる見込みで、「1997年の会社設立時に考えていた、主要なビジネスアプリケーションがすべて揃う」。このほかの新規事業では、オークションやインターネットテレビ、保険事業などを手がけるという。

 TBSとの業務提携の進捗状況に関しては、「7月から月2度のペースで業務提携委員会を開催しているが、現在は議論が終わり、これからどうしようかという段階」(國重惇史代表取締役副社長)。決算説明会終了後の囲み取材でも、「お互いのことなので発表できる段階にはない」(三木谷社長)とコメントするにとどまった。


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  投資家向け情報
  http://www.rakuten.co.jp/info/ir/

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( 増田 覚 )
2006/11/16 19:20

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