楽天は18日、2006年度第2四半期(4月~6月)の連結決算を発表した。売上高は531億4,0000万円(前年同期比161.7%増)、経常利益は96億7,000万円(同41.3%増)、純利益は34億2,000万円(同19.9%減)だった。売上は順調に推移したが、人材採用や新サービスへの投資などが影響し、経常利益は直前四半期比で13.6%減少する結果となった。
● 売上は順調に推移するも、人材採用や新サービスへの投資が利益を圧迫
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楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長
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2006年第2四半期の連結決算
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カンパニー別の業績では、楽天市場を中心とするEC事業が高成長を持続して、売上高は137億7,000万円(前年同期比76.4%増)。ただし、人材採用のコストやポイント利用率の上昇の影響で、直前四半期比では経常利益が11.8%減少し、42億8,000万円だった。
クレジット・ペイメント事業は、売上高が208億5,000万円(前年同期比1,971.8%増)と急増したが、楽天KCのクレジット事業の営業収益減と債権流動化益減で、経常利益は3億7,000万円の赤字。今後、11月には楽天KCのクレジット事業をオリエントコーポレーションに譲渡し、バランスシートのスリム化とROA(総資産利益率)の向上を図る。
ポータル・メディア事業カンパニーは、売上高が31億8,000万円(同47.5%増)で堅調に推移したが、インターネットテレビ事業「楽天イーグルスTV」やパブリッシング事業「STARsoccer」などの新サービスへの投資が影響し、経常利益は1億2,000万円の赤字となった。
トラベル事業は、売上高が24億6,000万円(同53.3%増)、経常利益が12億円(同68.6%増)と堅調に推移した。証券事業は、口座数、売買高増を受け、売上高が118億6,000万円(同135.8%増)、経常利益が58億3,000万円(同124.4%増)と大幅に伸びた。プロスポーツ事業については、売上高が27億9,000万円(同16.8%減)、経常利益が2億8,000万円(同70.7%減)で、マイナス成長となった。
● 楽天ブランドのシナジー効果が高収益の元
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成長へ向けた人材確保を強化する
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18日に開催された決算説明会で、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、今後の課題として、1)先行投資と収益性のバランス、2)成長を支えるオペレーション力の強化とスケーラビリティの確保、3)Web 2.0対応の進展――などを掲げた。
先行投資と収益のバランスについては、将来の成長のために積極的に人材を確保するとともに、住宅ローンや銀行、保険などの新規事業を進める考えを示した。
オペレーション力の強化を実現する方法としては、六本木ヒルズにある同社のオフィスを、品川のオフィスにも拡張。オフィスは当面併用するが、将来的に新オフィスを主力拠点とし、オフィス賃料を抑える。新オフィスには、従業員の教育プログラムを実行する施設を設置する予定だ。
Web 2.0対応の進展としては、ユーザー発信型のコンテンツを強化するほか、アフィリエイトと他のサービスとの連動、「楽天広場」などのコミュニティサービスの強化を挙げる。具体的には「楽天市場」や「楽天トラベル」「楽天広場」などにおけるユーザーの投稿を蓄積し、楽天の各サービスと連動させる。
また、三木谷社長は「楽天ブランドのシナジー効果」を強調。楽天市場と楽天トラベルを併用するユーザーの割合が、2005年6月の12%から2006年5月には20%に、楽天が提供するサービスを2つ以上利用している割合では、2005年3月の18.6%から2006年6月には23.1%へ増えていることなどを示し、「楽天ブランドでトラフィックを集め、あらゆる会員に質の高いサービスを提供することが高収益の元である」とアピールした。
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オペレーション強化とスケーラビリティ確保を実現するため、品川区にオフィスを拡張する
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Web 2.0への対応では、楽天市場の商品レビューと楽天広場のブログを連動させる
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● 楽天市場のシステム障害、店舗への補償は「対応を検討中」
8月9日に発生した楽天市場のシステム障害については、「我々が想定していたプロセスでないことを委託会社がやってしまった。復旧作業に時間がかかり、大変ご迷惑をおかけした」(三木谷社長)とコメント。店舗に対する補償や、メンテナンスを委託していた伊藤忠テクノサイエンスへの損害賠償請求は、「対応を検討中」とした。
そのほか、ショッピングモール事業への参入を検討しているアマゾンジャパンについては、「直販事業を中心としている企業がモールを手がける難しさはある」としながらも、「Eコマースのマーケットが活性化することは歓迎したい」と余裕を見せた。
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