Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

米Amazon、バーチャル通貨を稼げる質問回答サイト「Askville」


Askville
 米Amazonは8日、質問を投稿するとコミュニティが回答を書き込んでくれる、いわゆる質問回答サイト「Askville」の公開ベータテストを開始した。Askvilleは数カ月前から一部ユーザーを対象にクローズドベータテストを行なっていた。Askvilleは公開ベータテスト中とはいえ、すべての人が質問を投稿したり回答することが可能だ。

 Askvilleは他の質問回答サイトにはないいくつかの特徴を備えている。例えば質問をしても回答がする人がいない場合に備えて、Amazon独自のWebサービスである「Amazon Mechanical Turk」を使用して質の高い回答を用意することにしている。これは人力を使ってコンピュータにはできない作業を行なう人を有償で探し出すサービスで、プログラムからAPIとしても利用できる毛色の変わったサービスだ。

 さらにAskvilleの質問は誰でも閲覧できるが、すべての回答者が回答を終わる前は他の人の回答を見ることはできない。これは他の回答をコピーするカンニング行為を防ぐためだ。Askvilleでは一人一人の回答に「経験値」が与えられるため、このシステムはより重要な意味を持つ。経験値が上がれば上がるほどAskvilleの中での評価が上がるだけでなく、Askvilleの中で特別な「特権」を得ることもあるという。

 さらにAskvilleで回答する際にYouTubeやGoogle Video、Google Maps、Amazonの製品を表示するウィジェットなど、リッチコンテンツやオブジェクトを組み込むことができる。これにより、テキストでしか回答できなかった多くの質問回答サイトに比べてより的確な回答ができる可能性がある。

 さらに経験値が評価されることにこだわらずに自由に質問や回答について議論できるようにするため、別途掲示板が設けられた。ここでは経験値を落としたり、評価が下がることを気にする必要がないため、コミュニティの活気を維持することに役立つと考えられている。ここでは書き込み内容が即座に公開される。

 そしてAskvilleで注目される大きな機能はバーチャル通貨「Quest」が用意されていることだ。このバーチャル通貨は質問に回答するごとに稼ぐことができる。Amazonではこのバーチャル通貨を使用してコンテストに参加したり、商品をもらったりできる「Questville.com」というサイトを2007年にオープンする予定だ。この新サイトの出来次第によってはバーチャル通貨を稼ぐことが大きなインセンティブとなり、Askvilleの成功に寄与する可能性もある。

 AskvilleはAmazonの完全子会社であることから、Askvilleのアカウントを取得して利用するだけでなく、Amazonアカウントを利用してログインすることができる。Amazonは実際に多くの商品を扱っているため、バーチャル通貨や経験値などと連動していく可能性は大いにあるだろう。また企業戦略的にはAmazon.comは先週、Wiki系サイトの米Wikiaにも投資を行なっており、こうしたユーザーによって生成されたコンテンツに大きく着目していることもわかる。


関連情報

URL
  Askville(英文)
  http://askville.amazon.com/
  Askville公式ブログの該当記事(英文)
  http://askville-blog.amazon.com/2006/12/welcome_to_askv.html

関連記事
米Amazon.com、Wikiaへ戦略的投資(2006/12/07)


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/12/11 12:45

- ページの先頭へ-

INTERNET Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.