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知的財産戦略本部・コンテンツ専門調査会企画ワーキンググループの第4回会合
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政府の知的財産戦略本部は22日、コンテンツ専門調査会企画ワーキンググループを開催し、「コンテンツ大国」の実現に向けた具体策の取りまとめを行なった。
ワーキンググループでの議論をまとめた「世界最先端のコンテンツ大国の実現を目指して」と題した報告書案では、コンテンツ大国を目指す上での基本認識として、1)世界のスピードある変化と乖離している、2)潜在的な能力が十分に生かされていない、3)コンテンツ市場の拡大を目指す、4)民が主体であり、官は阻害要因を排除する――の4点を掲げ、振興策は民間企業のビジネス戦略を基本として、政府や行政は環境整備や側面支援を担当するとしている。
特に現状の問題として、日本には豊かなコンテンツを生み出す想像力や、コンテンツの創作・流通を支える技術開発力を備えていながら、その潜在的能力を十分に発揮・活用できていないことがあると指摘。こうした阻害要因となっているのが、「時代の変化に対応できていない制度と業界慣行」「将来に目を向け、新しい産業や収益源を見つける視点の欠如」「産業界の海外戦略の欠如」にあるとして、解消策として海外展開の促進や法制度・契約の改革、人材育成などの必要性を掲げている。
法制度面では、環境の変化に柔軟に対応する新たなビジネスを支えることができるよう、著作権制度とその運用の見直しを進める必要があるとして、IPマルチキャスト放送へのコンテンツ流通の促進や、権利者が不明となっているために流通ができないコンテンツへの対策などが必要だとした。また、一般ユーザーが著作物を楽しむ機会を充実するための方策として、ネット上の検索サービスにおける著作権法上の課題を明確にし、必要な措置を講じることや、放送番組アーカイブの活用、コンテンツの保存・収集・利用の促進、コンテンツのネット流通の促進などを挙げている。
このほか、契約面ではマルチユースを前提とした契約ルール作りや、権利の集中管理などによる放送番組のマルチユースの促進。海外展開の促進では、日本のコンテンツを総合的に集める「国際コンテンツカーニバル」の開催や、在外公館などにおいて日本のアニメ作品を上映するなど、アニメを通じて海外に現代日本を紹介する「アニメ文化大使(仮称)」事業の促進などが挙げられている。
専門調査会では、これらのコンテンツ振興戦略を取りまとめ、3月に開催される知的財産戦略本部の全体会合に報告。提言は2007年度版の「知的財産推進計画」に盛り込まれる見通しとなっている。
関連情報
■URL
知的財産戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html
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( 三柳英樹 )
2007/01/22 16:53
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