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「著作権問題を考える創作者団体協議会」の議長を務める作家の三田誠広氏
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日本音楽著作権協会(JASRAC)と、JASRACなど17団体が参加する「著作権問題を考える創作者団体協議会」は25日、著作権の保護期間を現在の死後50年から70年への延長を求めるとともに、著作物の円滑な利用を促進するための権利者データベースを保護期間の延長までに整備すると表明した。
協議会の議長を務める作家の三田誠広氏は、24日に行なわれた協議会の第2回会合の概要や、今後の活動などを説明。著作権保護期間については、著作者の死後50年となっている保護期間を死後70年へ延長することを求めていく一方で、著作権の利用許諾が得にくいことが著作物の円滑な利用を妨げているという点は改善していくと説明。参加17団体は今後、権利者データベースを構築し、著作物の利用者の利便性向上を図るためのポータルサイトなどにより、円滑な著作物利用のための仕組みを構築していくとした。
保護期間延長への反対意見に対しては、「日本はコンテンツの輸入大国であり、保護期間の延長は国益に反するという主張があるが、著作権は私権であり国の損得で考えるべきではない」と主張。また、日本が輸入大国であるという意見にも疑問があるとして、ぴあ総合研究所が発行した「エンタテイメント白書2005」のデータを紹介。資料によれば、2002年のエンタテイメント産業における日本の輸出額は1兆4,347億円、輸入額は1兆6,562億円で、輸出入額に大きな差は無いと説明した。
また、「著作権保護期間はベルヌ条約に定められた50年が国際標準である」という主張についても、「ベルヌ条約に加盟している158カ国のうち、保護期間が70年以上となっているのは68カ国。この数字だけ見れば確かに半数以下だが、米国やEU加盟国など日本の主な輸出入の相手国はほとんどが70年以上」として、50年が国際標準であるとは言えないとの見解を示した。
三田氏は、「こうした反対派の主張はあまり根拠の無いものではないか」として、今後も保護期間の延長を求めていくとともに、データベースの構築により利用許諾の整備を進めると説明。文化庁が開催する文化審議会著作権分科会において、著作権保護期間の延長問題が議論されるという見通しを語った。権利者データベースの構築については、「これから議論が始まるため、実際に保護期間が延長されるには最低でも2年はかかるので、それまでにすべての団体がデータベースを構築して窓口を作る」と表明。また、権利者が不明となっている著作物も利用できるように、簡易な裁定制度のあり方についても検討を行ない提言していくとした。
関連情報
■URL
JASRAC
http://www.jasrac.or.jp/
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( 三柳英樹 )
2007/01/25 20:54
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