総務省は9日、「電気通信事業分野における市場画定2006」を公表した。「市場画定」とは、市場シェアを算出する際に前提となる市場の範囲を決めるもので、総務省が通信事業の競争状況を評価するにあたっての基礎となる。今回、インターネット接続と法人向けネットワークサービスの2つの領域について範囲が見直される。
2006年度の競争評価では、「インターネット接続」「法人向けネットワークサービス」「固定電話」「移動体通信」という4つの領域が対象となる。このうち、固定電話と移動体通信については2004年度と2005年度に詳細な市場画定を行なっており、2006年度は市場画定の見直しを要するほどの市場環境の変化は見られないとして、従来の市場画定を踏襲することとした。
一方、インターネット接続と法人向けネットワークサービスについては、2003年度に行なった詳細な市場画定から3年が経過。ナローバンドからブロードバンドへの移行、あるいはADSLからFTTHへの移行の進展、インターネットVPNの普及といった市場動向を踏まえて、今回、市場画定を見直すこととした。
まず、インターネット接続領域においては従来、接続回線について「DU(ダイヤルアップ)」「ISDN」「ADSL」「CATV」「FTTH」という5つの別々の市場として画定。さらに接続サービスについて「ISP」市場があり、計6つの市場を画定していた。なお、FWA(固定無線アクセス)については、利用者が著しく少ないため市場画定では考慮されていない。
これに対して2006年度は、DUとISDNを「ナローバンド」、ADSL、CATV、FTTHを「ブロードバンド」として括る。ISPは、そのまま単独市場として画定する。市場を大きく括ることで独占的事業者のシェアが小さく出る傾向があるが、過渡期ということで、従来通りのADSL、CATV、FTTHも部分市場としてシェアを算出して補足するという。
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インターネット接続領域の市場確定の変更点(総務省「電気通信事業分野における市場画定2006」から転載)
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法人向けネットワークサービス領域では、従来は「専用サービス」「データ通信系サービス」に分けて市場を画定。さらにデータ通信系サービスの中で「IP-VPN」「広域イーサネット」「フレームリレー」「セルリレー」を部分市場としていた。
これに対して2006年度は、「専用サービス」と「新型WANサービス」で市場を画定。さらに新型WANサービスの中で「IP-VPN」「広域イーサネット」「インターネットVPN」の3つを部分市場とする。フレームリレーとセルリレーは需要の低下を踏まえて除外された一方で、普及しているインターネットVPNが加わった。
総務省では夏をめどに、今回画定された4領域の市場について「電気通信事業分野における競争状況の評価2006」として市場シェアなど分析結果を発表する予定だ。また、戦略的評価として「携帯電話番号ポータビリティ制度導入による競争状況の変化」などの分析も行なうとしている。
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■URL
ニュースリリース
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070409_5.html
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( 永沢 茂 )
2007/04/10 16:50
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