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「Google Earth」にダルフール紛争に関する新レイヤー追加


ダルフール紛争に関するレイヤー
 米Googleは10日、スーダン国内のダルフール地方で起きている大虐殺に関する情報を含む3つの新レイヤーを追加したと発表した。これらの新レイヤーはGoogle Earth日本語版でもデフォルトの状態で見ることができる。

 ダルフール紛争に関するレイヤーはデフォルトでオンになっており、新たに設けられた「グローバル・アウェアネス」項目の下にある。このレイヤーでは写真、データ、目撃証言などを英語で表示する。これらの情報は米国務省、米国ホロコースト記念博物館、国連、NGO組織などによって提供されている。

 ダルフール地方の大虐殺の実態を知ることは一般には非常に難しい。ジャーナリストですら、スーダン政府によって同地方への立ち入りを禁じられているからだ。しかしGoogle Earthからは、スーダン軍と武装民兵組織「ジャンジャウィード」によって破壊された10万以上の家、学校、モスクや建造物を高解像度画像ではっきりと確認できる。このレイヤーでは、被害を受けた村や破壊された村を印で表示するため、そこを拡大していくことで容易に破壊現場を見つけられる。ジャーナリストでも全容をつかむことが難しいダルフールの現状について、人道支援組織が活動を行なう上で有用な道具となることも期待されている。

 この取り組みについて、米国ホロコースト記念博物館のディレクターであるSara J.Bloomfield氏は、「過去と現在の残虐行為について今日の世代を教育することは、Google Earthのようなテクノロジーによってその度合いを一層高めることができる」とコメントしている。さらに米国ホロコースト記念博物館では、過去に起きたナチスによるホロコーストに関するタイムラインや強制収容所の場所などをGoogle Earth上に示したKML地図情報ファイルの配布も開始した。

 このほか今回Google Earthに追加された新レイヤーは、「特集コンテンツ」の中に追加された「Trimbleアウトドア」と、「旅行と観光地」の中に追加された「100%ピュア・ニュージーランド」の2つだ。Trimbleアウトドアは米国内の情報で、ハイキング、マウンテンバイク、カヌー、登山に関する情報を提供。100%ピュア・ニュージーランドでは、ニュージーランドの観光地情報を提供している。

 さらに今回のアップデートでは、スイスの登山鉄道、スキーリフト、ゴンドラに関する情報の提供が開始されたほか、国連環境計画の「変わりゆく環境地図」レイヤーや「欧州宇宙機関」レイヤーなどの情報もアップデートされている。


関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.google.com/intl/en/press/pressrel/darfur_mapping.html
  Google Earth掲示板の公式情報(英文)
  http://bbs.keyhole.com/ubb/showflat.php/Cat/0/Number/860297/an/SupportKML/page/0#860297
  米国ホロコースト記念博物館による情報(英文)
  http://www.ushmm.org/googleearth/

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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/04/11 13:41

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