米Googleは9日、メールやIMなどのメッセージに関係するセキュリティソリューションを提供している米Postiniを、6億2,500万ドルで買収することで両社が合意したと発表した。Postiniは将来的にGoogleの完全子会社として運営される見込みだ。
Postiniは、企業がメールやIMを使用しやすくするためのオンデマンドソリューションを提供している。提供しているサービスとしては、スパムやウイルスを除去するメッセージセキュリティ、メッセージアーカイブ、メッセージの暗号化、複雑なメッセージポリシー管理機能など。
Postiniのサービスは、企業がコンプライアンスを確保するために必要な複雑なメッセージポリシーや、独自に定めたルールを扱うことができるため、世界の3万5,000社以上に採用されているという。サービスはオンデマンドで提供されているため、企業が新たにソフトウェアやハードウェアを購入する必要はなく、インストールや維持管理作業などはすべてPostiniが行ない、企業内管理者はブラウザを通して管理作業を行なうのみとなっている。
これに対してPostiniを買収したGoogleでは、様々なオンデマンドアプリケーションを提供している。例えば企業向け総合サービスのGoogle Appsでは、Gmail、Google Calendar、Google Talk、Docs & Spreadsheets、Personal Start Pageなどを備え、その意味でPostiniのサービスとの親和性が高い。
こうしたことからこの買収について、Googleエンタープライズ部門バイスプレジデントでゼネラルマネージャーであるDave Girouard氏は、「Google Appsへの反応はすさまじく、毎日1,000社以上の中小企業がサービスにサインアップしている。しかし同時に、大企業はセキュリティとコーポレートコンプライアンスの問題からホスティングアプリケーションに移ることに消極的だった。GoogleのテクノロジーにPostiniの製品を加えることによって、企業はこれ以上選択しなくても済むようになる。従業員は直感的に欲しいと思う製品を手にし、企業は必要なセキュリティと保証を得ることになる」と両社統合のメリットを説明した。
特に、Googleで同様の製品を独自開発せず、Postiniを買収することを選んだ理由として、Postiniが様々な規模の企業が関係する法規制やコンプライアンスの要求に関する詳細なノウハウを保有しており、マーケットがPostiniのソリューションを高く評価していることを挙げた。
Googleは買収後も引き続きPostiniの顧客に対するサポートを続け、Postiniの新製品開発にも投資していく。特にPostiniの既存顧客に対する配慮が払われており、現在Postiniのデータセンターに保管されている企業情報も移行されることがない。将来的にGoogleとの統合に関する詳細が決定するまでは、Postiniは独立した企業として運営を続ける予定だ。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.google.com/intl/en/press/pressrel/postini_20070709.html
買収に関するFAQ(英文、PDF)
http://services.google.com/blog_resources/postini_faq.pdf
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・ 米Google、「Google Apps」の有料サービス開始(2007/02/23)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/07/10 12:35
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