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毎日新聞の新ニュースサイト、ブロガーの協力も受け「オープン化」推進


 毎日新聞社は、新たな総合情報サイト「毎日jp」を10月1日に開設する。マイクロソフトとの提携により展開してきたニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」を9月末で終了し、毎日新聞社が独立したサイトを立ち上げるかたちになる。コンテンツのカテゴリーの見直しを図るほか、「オープン化」も掲げ、著名アルファブロガーやネットジャーナリストらとも協力していくという。


基本コンセプトは「信頼」「楽しい」「役に立つ」

「毎日jp」のロゴとキャラクターは、TBSの「TブーS!」のキャラクターデザインやKDDI「LISMO!」のクリエイティブディレクションなどを手がけた佐野研二郎氏が担当

「毎日jp」トップページのイメージ
 9月18日に開催した記者発表会で、毎日新聞デジタルの代表取締役である荒井健治氏が、独立サイトの開設に至る経緯や毎日jpの概要などを説明した。なお、毎日新聞デジタルは、毎日新聞社デジタルメディア局の業務委託会社として4月に設立された会社だ。

 荒井氏はまず、1995年8月にスタートした毎日新聞社初のWebサイト「JamJam」、続いて“軟派”なコンテンツを扱うサイトとして1996年4月にスタートした「AULOS」、1999年4月に両者を集約してスタートした「毎日インタラクティブ」、さらにマイクロソフトとの提携で2004年4月に開設した「MSN毎日インタラクティブ」というこれまでのWeb展開を紹介した。

 MSN毎日インタラクティブでは、2006年8月に月間5億ページビューを達成し、1,500万のユニークユーザーを抱える新聞社系ニュースサイトのトップになったと説明。荒井氏はその理由として、インターネット読者に合わせた情報の選択や、エンターテイメント情報をニュースのような“硬派”な視点で提供したこと、Web独自の取材記事を掲載したことなどを挙げた。

 しかしその一方で、編成権や事業展開などに限界もあったという。また、生活関連情報を十分に提供できていないということもあり、新しい独立したサイトを開設することにした。

 毎日jpでは、「信頼」「楽しい」「役に立つ」を基本コンセプトにする。具体的には、「政治」「経済」「社会」などといったこれまでのニュースカテゴリーの見直しを行ない、信頼=ニュース、楽しい=エンターテイメント、役に立つ=ライフスタイルという3大カテゴリーを設けるとともに、それぞれ新聞のジャンル分けにとらわれないジャンルでコンテンツを提供していく。


毎日新聞デジタル代表取締役の荒井健治氏 毎日新聞社のニュースサイトの歴史

遅れていたネットの双方向性への対応、「オープン化」により実現

 さらに、「オープン化」も掲げ、「開かれたサイト」を目指す。著名アルファブロガーやネットジャーナリストをアドバイザーとして、第三者の視点から助言や参加協力を求めるという。

 この点に関連し、毎日新聞社常務執行役員デジタルメディア局長の長谷川篤氏は、「信頼」と「オープン化」のバランスについて、「信頼とオープン化は二律背反するものではない。信頼というのは、いつも開かれた姿勢であるということ」と説明する。また「我々は新聞社として開かれた組織を作ってきたとはいえ、狭い世界の視野になっている。特にネットの場合は新聞に慣れすぎたため、ネットの特性やネットの可能性、双方向性については相当遅れている。我々新聞社がネットにも対応し、ネット上で一定の役割を果たすにはどうしたらいいのかというアドバイスをいただきたい」と述べ、ブロガーに向けて広く支援を求めた。

 毎日新聞社常務取締役の朝比奈豊氏(主筆 デジタルメディア担当)も、同社が30年前から掲げていた「開かれた新聞」という新聞作りのキャッチフレーズを紹介し、「オープンというのは、新聞社の殻に閉じこもらず、広く読者の皆さんと双方向の交流をしながら、ひとりよがりにならずに新聞を作っていこう」ということだと説明。毎日jpでは、これをインターネットで展開していくとした。

 このほか毎日jpでは、全記事でソーシャルブックマークの「Yahoo!ブックマーク」に対応するほか、個人ブログに貼り付けることができる各種ブログパーツの提供やRSSの公開も行なう。また、エンターテイメントやライフスタイルのカテゴリーで提供する独自コラムもオープン化の一環だとしている。


毎日新聞社常務執行役員デジタルメディア局長の長谷川篤氏 毎日新聞社常務取締役の朝比奈豊氏

3年後には「MSN」時代を超えるページビュー目指す

 毎日jpは、10月1日のオープン後の2カ月間を「フェーズ1」として、MSN毎日インタラクティブからの利用者の移行を行なうとともに、カテゴリーの見直しや生活情報の充実を図る。12月からの「フェーズ2」においては地域情報の充実や動画へも取り組み、2008年4月からの「フェーズ3」においてカスタマイズシステムやモバイル連携を図っていく予定だ。

 なお、現在のMSN毎日インタラクティブのページビューは、2006年8月に月間5億を超えた後、「4億と3億の間をいったりきたりしているのが実態」(長谷川氏)だという。新サイトの毎日jpのページビューについて長谷川氏は「天下のマイクロソフトと別れて、どれほどページビューを見込んでいるかという話だが、我々が成功したのは、やはりマイクロソフトの玄関をお借りしたから。玄関がなくなれば、その分は減ると思っている。いったんは2億に落ちるかもしれない」とコメント。しかし、開設から2年内にピークの月間5億を超え、3年後にはそれ以上に飛躍するという目標を掲げているという。

 一方、マイクロソフトでは、産経新聞グループと提携し、共同ブランドのニュースサイト「MSN産経ニュース」を10月1日に開設することをすでに発表している。

 記者発表会では、生活情報分野のコンテンツや広告事業で提携するオールアバウトの代表取締役社長である江幡哲也氏もあいさつした。

 江幡氏は、「インターネットが登場してから、誰もが発信できるということで、昨今ではブログやソーシャルネットワークなど消費者発信メディアというものが立ち上がってきている。すばらしいことであることと同時に、一方で情報が氾濫したり、その情報を信頼していいかのかわからないという声もある」と説明。そのような状況ンの中で、毎日jpがスタートすることについて、「歴史や信頼感のある、非常に大きなコンテンツを持っている毎日新聞社と、いろいろな人が自由に発信できるというインターネットのよさをミックスしたような新しいサイトが立ち上がることだと思う」として期待を寄せた。


オールアバウト代表取締役社長の江幡哲也氏 「毎日jp」でガーデニング関連のコラムを執筆する女優の黒谷友香さん

関連情報

URL
  毎日jp
  http://mainichi.jp/

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( 永沢 茂 )
2007/09/18 18:43

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