日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞グループ本社は1日、インターネット分野における共同事業と販売事業における業務提携を発表した。3社は共同で新たなインターネットサービスを提供するほか、山間地など販売店の維持が困難な地域での提携、災害時等の新聞発行の相互援助などを行なう。
● 共同サイトで各社の記事や論評を比較可能に、具体的なサービスは現在検討中
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記者会見で握手を交わす朝日新聞の秋山社長(左)、日経新聞の杉田社長(中央)、読売新聞の内山社長(右)
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日本経済新聞社の杉田亮毅社長
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インターネット分野での共同事業では、3社の主要な記事を読み比べられるサービスのほか、3社のニュースを共同で発信するためのツール等の提供を検討している。サービスは2008年初頭の開始を予定し、事業主体としては3社が共同で民法上の組合を設立。事業費は数億円規模を見込む。
日経新聞の杉田亮毅社長は、3社がインターネット分野で提携する理由について、「新聞社が発信する報道や解説、評論の価値を、インターネットの世界でも高めるため」と説明。「現在ネットで配信されているニュースも、大半は新聞社の記者が取材をして記事にしたもの。今回の共同事業は、真のニュース発信者である新聞社が力を合わせて新たな価値を提供し、ネット社会での新聞社の影響力・発言力を一層高めることを狙いとしたものだ」とコメントした。
ただし、具体的にインターネット分野でどのようなサービスを提供するかについては、現在検討中であるとして詳細は明らかにされなかった。基本的には、3社が共同でサイトを開設し、3社の主要な記事や解説が読み比べられるサービスなど、各社が単独では展開できないサービスを提供。共同サイトから各社のサイトへと誘導する形で、共同サイトのアクセスを増やすことにより、各社のサイトのアクセスも増やしていきたいと説明。現在、こうしたサービスのあり方について、各社の担当者が協議を進めている最中だとした。
また、各社が行なっているYahoo! JAPANなどポータルサイトへのニュースの提供については、今回の提携がそれを妨げることはなく、各社がそれぞれで判断することだと説明。ネットでの新聞社の存在感を高めることにより、新聞自体の売上も伸ばしていきたいとした。
● 販売事業、災害時等の相互援助についても提携
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読売新聞グループ本社の内山斉社長
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朝日新聞社の秋山耿太郎社長
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販売事業分野での業務提携は、山間僻地など単独では販売店の維持が困難となる地域について、宅配や集金などの業務を相互に連携して行なっていくというもの。既に、北海道の一部地域で朝日新聞と読売新聞が行なっている提携の実験では概ね良好な結果が出ており、これを全国にも拡大していくという。
また、災害やシステム障害などが発生し、新聞発行が不可能となる事態に備えて、紙面制作の代行や印刷の代行、輸送の支援などについて、相互に援助しあうことで覚書を締結。2008年3月末までには、正式な協定を結ぶとしている。
読売新聞グループ本社の内山斉社長は、「今回の3社の合意は、インターネットを活用して紙の新聞を断固維持していくということに尽きる。そのためには、宅配網を維持・強化していかなくてはならない」と説明。都市部などでは従来通り各社が競争していくが、過疎地など単独では販売店の維持が困難となっている地域に対しても、今後も複数の新聞を届けていくための仕組み作りであるとして、他の新聞社ともこの趣旨に賛同が得られるのであれば協力していきたいと語った。
朝日新聞の秋山耿太郎社長は、「今回の提携は、それぞれの新聞の特徴や個性を大事にしながら、多様な報道や言論活動の基盤を強化するもの。そのことが読者サービスにもつながり、結果として新聞に対する読者の信頼と期待を増すことになると確信している」とコメント。「ネット事業は3社の記事、論評を比べる場を設けることなどが中心となるが、互いに競い合う3社だからこそできる仕組み。また、販売面の協力も、全国どこでも多様な言論、報道を読者に選択していただける機会を確保していこうという考え方だ」として、今回の提携に期待を寄せた。
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( 三柳英樹 )
2007/10/01 17:32
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