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脳内イメージで「Second Life」を散歩可能、慶應大が技術開発に成功


アバターが脳波で動いている様子

向かって左の画面がSecond Lifeの実行画面、右が脳活動の解析画面
 慶應義塾大学は11日、頭の中で考えただけで、3Dバーチャルワールド「Second Life」内を散歩できる技術の開発に成功したと発表した。機械が脳波を読み取ってコンピュータを操作するブレインコンピュータインターフェイス技術を、Second Life内のアバター操作に世界で初めて応用したという。

 開発したのは、慶應義塾大学理工学部生命情報学科の専任講師である牛場潤一氏。同大学医学部リハビリテーション医学教室らとの連携プロジェクトで開発したもので、筋萎縮性側索硬化症や脊髄損傷、脳血管障害などにより重度の運動障害がある人にもSecond Life内でのコミュニケーションやビジネスの可能性を拓くとしている。

 この技術では、研究室が開発したヘッドセットにより頭皮3カ所に直径1cmの電極を貼り、手足の運動を制御している大脳皮質運動野の脳活動をとらえ、その人がイメージしている動作をリアルタイム分析することで運動意図を読み取るという。具体的には、「両足を動かす」ことをイメージするとアバターが「前進」、「右手を動かす」で「右折」、「左手を動かす」で「左折」となる。

 ヘッドセットでピックアップした脳波は市販の脳波計を経由し、増幅・ノイズ除去を行なった後、開発したブレインコンピュータインターフェイスに入力。これは、独自の脳波分析アルゴリズムとSecond Life制御用キーボードエミュレータで構成されており、Second Lifeを実行しているPCに対してキャラクタを操作する制御信号を送出する流れだ。


ブレインコンピュータインターフェイスの模式図

 プロジェクトでは今後、より複雑なジェスチャーなどもできるよう技術開発を進める。また、運動機能に障害のある人でも実験を行なう予定だとしており、Second Life内での散歩を通じて脳を積極的に使うことが脳や神経などに与える効果も測定し、リハビリテーション分野への応用の可能性も検討していくとしている。

 なお、この技術は、12月5日に東京国際フォーラムで開催する「KEIO TECHNO-MALL 2007(第8回慶應科学技術展)」でデモする。また、実証実験の動画を研究室のWebサイトで公開している。


関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.keio.ac.jp/pressrelease/071011.pdf
  実証実験の動画(富田・牛場研究室 新着ニュース)
  http://bme.bio.keio.ac.jp/01news/

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( 永沢 茂 )
2007/10/11 16:07

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