欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は11日、欧州単一市場におけるモバイルの普及状況について先進性をアピールするとともに、インターネット化に向けた今後の課題を示した。欧州委員会の情報社会メディア担当であるViviane Reding氏が、スペインのバルセロナで開催中の「GSMA Mobile World Congress 2008」で挨拶した。
欧州の携帯電話市場は、GSMの成功もあり、普及率は平均で111%、加盟国によっては150%にも達するなど、一応の成功を見せている。これは、GSMが欧州発祥ともいえる標準であったことが大きく寄与しているという。さらに今後、モバイル市場がより活性化するためにはスムーズにインターネット化に対応する必要があるとしている。
一方で、現在ではモバイル市場の成長は欧州などの先進諸国から中国やインドなどの新興国に移りつつあるとの見解も示された。中国やインドの台頭によって欧州などの先進国はもはや興味のない市場になるのかとの懸念についてReding氏は、インターネットへの移行など今後も成長の素地があり、また、基礎となるモバイル自体の普及率が高いことも今後のインターネット化の市場価値の潜在力の源にもなるとしている。
そのようなモバイルインターネット市場については、新たなビジネスモデルが誕生しつつあると同時に、ローミングサービスの普及もあり、EU加盟国内での市場成長の素地はあると指摘。ローミングについては、2008年7月までを期限として各キャリアに対してローミング料金の値下げを義務付けており、市場としての価格競争力が増すだろうとしている。
今後の課題としては、モバイルにおけるデジタルデバイドの解消やセキュリティの向上を挙げ、EUとしても全面的に産業界に協力する姿勢が示された。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/08/70&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
Mobile World Congress 2008(英文)
http://www.mobileworldcongress.com/
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・ EU、ローミングの低価格化が進む(2008/01/21)
( Gana Hiyoshi )
2008/02/12 15:13
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