マイクロソフトは21日、製品のオープン性と相互運用性の強化を図っていくために方針を変更し、製品のAPIやプロトコルに関する技術文書を公開していくと発表した。
対象となる製品は、Windows Vista(.NET Frameworkを含む)、Windows Server 2008、SQL Server 2008、Office 2007、Exchange Server 2007、Office SharePoint Server 2007といったMicrosoftの企業向け製品で、将来のバージョンにも適用される。
マイクロソフトでは、1)オープンな接続の保証、2)データの可搬性向上の推進、3)業界標準のサポート強化、4)顧客ならびにオープンソースコミュニティを含む業界内組織とのよりオープンな関係の構築――の4つの相互運用性の原則とそれに対応した施策を、広く使われている企業向け製品に対して実施するとしている。
製品に対するオープンな接続を保証するための施策としては、他社製品との接続性を高めるため、企業向け製品の全APIとコミュニケーションプロトコルを記述した技術文書を、Webサイトで無料で公開するとしている。また、即時の実施策としては、21日からWindowsのクライアント製品とサーバー製品のプロトコルを記述した3万ページ以上の技術文書を、MSDNのサイト上で公開した。これまでは、ライセンス供与を受けなければこれらの情報にはアクセスできなかった。
また、どのプロトコルに対してマイクロソフトの特許が適用されるかについての情報を、Webサイトに掲載。合理的かつ非差別的な条項のもとで、これらすべての特許を低価格で提供するとしている。さらに、オープンソースの開発者が、これらのプロトコルの実装を開発または非商用目的で配布する限りにおいては、提訴しない旨の約款を定めるとしている。
このほか、標準の準拠に関する情報のコミュニティへの提供、Office 2007に新たな文書フォーマットをプラグインとして追加できる仕組みの導入、相互運用性を高めるための資源や施設などを開発者に提供するためのイニシアティブの開始、業界内での情報交換と対話の拡大などを施策として挙げている。
マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、「今回発表したプラクティスの変更は、製品やテクノロジーについての情報共有の方法に大きな変革をもたらす、重要な施策だ」とコメントしている。
また、マイクロソフトの法務顧問を務めるブラッド・スミス氏は、「今回発表した取り組みは、(2007年9月の)欧州第一審裁判所の判決でマイクロソフトに実行が課せられた相互運用性の原則を、広く使われている企業向けの製品のすべてに対して責任をもって実践することを目的としたもの」と説明。これらの施策については、すべての情報を欧州委員会に提供し、評価を受ける方針だと説明している。
欧州委員会では、マイクロソフトの発表を受けて声明文を発表。相互運用性の実現に向けた動きは歓迎するとしながらも、今回の発表はマイクロソフトが過去に発表した4回の同様の声明を踏襲したものだと指摘。また、欧州委員会では2008年1月から独占禁止法違反の疑いでマイクロソフトの調査を開始しており、今回の発表に関わらず引き続き調査を進めていくとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3364
欧州委員会の声明文(英文)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/08/106&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
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( 三柳英樹 )
2008/02/22 15:22
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