欧州連合(EU)第一審裁判所は17日(欧州中央時間)、Microsoftがその優先的な地位を濫用した事実に対する欧州委員会の決定を原則として支持する判決を下した。ただし、欧州共同体条約に法律上の規定のない監視管理官を置くという決定については取り消す決定が出された。
欧州委員会は2004年3月23日、Microsoftが欧州共同体条約82条に違反して市場における独占的な地位を利用して2種類の濫用行為を行なったとして、4億9,700万ドルを超える罰金をMicrosoftに課した。1つ目の濫用行為とは、Microsoftが、競業他社に対してサーバーOSに関する互換性に関する情報を提供すること、およびその情報を用いて競合する製品を開発し販売することを可能にすることを拒否したというもの。これは、1998年10月から欧州委員会決定の上記日付まで続いたという。その改善措置として欧州委員会は、Microsoftに対して、開発を希望する競業他社に対してプロトコルの情報開示を命令した。
2つ目の濫用行為とは、Windows Media PlayerとWindows OSとの抱き合わせ販売について、これが正当な競争を阻害するとしたもの。改善措置として、Microsoftに対して、Windows Media PlayerのバンドルされていないOSの販売を行なうよう命令した。最後に、欧州委員会決定では、Microsoftの独占禁止行為を監視する監視管理官を置くという決定がなされた。
これを受けてMicrosoftは、2004年6月7日に第一審裁判所に対してこの決定の取り消しと罰金の返還請求を申し立てていた。これに対して今回の判決では、互換性に関する情報開示については、欧州委員会側の決定を支持する判断を下した。また、抱き合わせ販売の一部禁止についても、欧州委員会の決定を妥当とする判断がなされた。ただし、監視管理官については、法的根拠がないとして欧州委員会決定を覆す判断が出された。罰金額についても、妥当と判示された。
関連情報
■URL
欧州委員会のニュースリリース(英文)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=CJE/07/63&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
Microsoftのニュースリリース(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2007/sep07/09-17Statement.mspx
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( Gana Hiyoshi )
2007/09/18 11:43
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