米Microsoftは22日、同社の一部従業員宛にメールを送り、同社のYahoo!への買収提案に関する最新情報を共有した。
これは、Microsoftプラットフォーム&サービス部門担当プレジデントのKevin Johnson氏が、2月20日付で同部門の従業員に宛てたメール。その後、米証券取引委員会に提出され、公開されている。メッセージは、公開されることを強く意識した内容となっている。新たに明らかになったこととして、Microsoftは、Yahoo!を買収したとしてもリストラを行なわない方針であることが挙げられる。
これについてJohnson氏は、「これ程の大きさの組み合わせでは容易に想像されるようにいくらかの重複は生じるが、Microsoftが成長企業であり、2005年以来2万人以上の人々を雇用してきたことを忘れるべきではない。我々は会社全体に才能ある人材を配置したいと考えている。我々にはビジネスや技術の仕事の機会に一切不足しておらず、素晴らしい人々がその仕事に焦点を合わせなければならない」とコメント。今回の買収提案では「両社の従業員が最も重要な資産」であるとの視点が繰り返されていたが、具体的にリストラを考えていないことが明言されたことは、Yahoo!従業員の動向にも影響を与えそうだ。
実際、買収提案が行なわれる直前の1月29日に、Yahoo!は戦略上の観点からリストラを行なうことを発表し、2月11日には実際にリストラを実行に移し始めている。公式には発表されていないが、同社従業員のブログなどの情報によると、1,000人規模の従業員が退職しているとされている。
Microsoftの買収提案に関連する別の問題として、Microsoftは米国ワシントン州レドモンドに本社があり、Yahoo!はカリフォルニア州シリコンバレー地域に本社があることから、Yahoo!の所在がどうなるかに注目が集まっていた。これに対してJohnson氏は、両社の所在地がシリコンバレーとレドモンドの双方に置かれることになることを明言した。
Johnson氏は、「我々はYahoo!のシリコンバレーにおける著しいプレゼンスを維持することにコミットする」と明言。さらに、Microsoft自身、レドモンド以外の地域でビジネスやエンジニアリング双方の分野で1,800人近くを既に雇用していることを指摘し、これが驚くべきことではないと説明した。
企業の所在地は、企業買収の重要な側面の1つである。企業文化の維持という意味でも重要な役割を果たすため、このことも買収の成否に影響を与え得るコメントといえよう。
さらに買収後、両社が保有するブランドの動向についてもコメントした。MicrosoftにはWindows LiveとMSNがあり、Yahoo!自身も強力なブランドだ。これについてJohnson氏は「Yahoo!ブランドは、この2社が組み合わさることが大きな価値を生み出す理由の1つだ」と述べ、Yahoo!ブランドが維持されることを示唆した。その上で、どのブランドや技術が生き残ることになるかを現時点で述べるのは時期尚早だとの考えも明らかにしている。
関連情報
■URL
米証券取引委員会に提出された文書(英文)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/789019/000095012308002011/y48607be425.htm
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/02/25 13:22
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