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「Web 2.0」説明できる高校生は6.9%、「YouTube」の認知率には親子格差

全国高等学校PTA連合会がIT意識調査

「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」第5回会合
 2日に開催された総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」第5回会合において、全国高等学校PTA連合会の会長である高橋正夫氏が、高校生と保護者のデジタルメディアに関する意識と実態についての報告書を紹介した。

 この報告書は、同連合会が3カ年計画で取り組んでいる「子どもを取り巻く人間関係の回復と社会環境の充実事業」の一環として行なっている調査の結果をとりまとめたもの。1年目の2006年度は、いじめや言葉の暴力をテーマにした調査だったが、2007年度は「デジタルメディア社会における子どもの健全育成」がテーマ。携帯電話の利用実態など、本格的なIT関連の意識・実態を調査し、この3月にとりまとめた。

 調査は2007年9月、全国36校の高校2年生(各校約120人)とその保護者を対象に実施し、生徒3,881人(男子1,905人、女子1,970人、不明7人)、保護者2,601人(男性451人、女性2,143人、不明6人)から回答を得た。生徒に対しては携帯電話の用途やIT関連の言葉の認知状況をはじめ、アダルトサイトの閲覧や違法コピー、ネット詐欺、ネットいじめ、ハッキング、迷惑メール送信などの経験の有無なども聞いている。一方、保護者には子どもが携帯電話を使う必要性や危険性なども聞いているが、その結果からは「保護者は高校生たちのデジタルメディアの世界には遠く及ばないことが明確に」(報告書)なったという。


携帯電話が使えなくなると「困る」高校生は、まだ半数

 高校生における携帯電話の所有率は97.3%に達しており、用途としては「会話」は36.6%にとどまり、「メール」が85.5%、「ウェブ」が60.8%と大きく上回った。また、「ゲーム」も31.6%あり、特に男子では43.7%に上っている。一方、保護者に対して子どもの携帯電話の用途は何だと思うかたずねると、「メール」は94.5%と多かったものの、「ウェブ」は23.3%、「電話」は63.9%となっており、実際とは大きく乖離する結果が出た。

 このように、子どもが携帯電話で何をしているかを保護者が知っているとは言いがたい状況であるとともに、携帯電話の知識について子どもよりも劣っていると感じる保護者は多いようだ。特に女性の保護者では、自分と子どものどちらがIT知識があると思うかたずねた設問で、自分(保護者)と回答したのは8.7%に過ぎず、子どものほうだとする回答が72.8%に上っている。なお、男性の保護者では自分47.4%、子ども33.9%。また、高校生に対しての同じ設問では自分が34.3%、保護者が35.8%だった。

 この結果について高橋氏は、「フィルタリング原則化の動きがあるのなら、本当に国は保護者に対して指導できるのか?」と疑問を投げかけ、フィルタリングのあり方を検討するにあたっては「保護者に対する認識を早急に持たなければ、子どもに指導していくことはできない」と述べた。

 調査では、高校生に対して「もし携帯を使えないとしたらどうしますか?」という設問もあった。その回答結果は、「すごく困る」が48.0%、「パニックをおこす」が4.1%あった一方で、「それほど困らない」が40.2%、「全く困らない」が7.8%おり、ほぼ半々であることが明らかになった。

 これに関して高橋氏は、よく使っている子どもとそうでない子どもが両方おり、全体的に見ると、高校生がいつも携帯電話やインターネットをやっているわけではないと説明。「今なら、いろいろ指導すれば、健全な方向に持っていける。何でも遮断して見せないのではなく、見せた上で有害かどうかを判断できるよう指導できるようにすることが必要」と訴えた。

 フィルタリングの方法についても、「小学生ならホワイトリスト方式でもかまわないかもしれない。しかし、中高生はブラックリスト方式で対応していくべき時期」と指摘。特に高校生は大人に近い年齢だということを理解すべきであり、フィルタリングポリシーを年代別に設定できるような仕組みが必要だとした。


説明可能な語句、「mixi」は高校生の3人に1人、「Winny」は4人に1人

 「WWW」「スパムメール」「デジタルとアナログ」などIT関連の言葉41語を示し、説明できる語句をすべて選択するという設問では、各語句とも高校生と保護者でそれほどの差異は見られなかったというが、「YOUTUBE(ユーチューブ)」に関しては大きな差が見られたという。保護者は男性23.5%、女性12.2%だったのに対して、高校生では男子54.6%、女子41.6%に上った。「子どもたちの指向では、電波で流れてくるテレビ映像から、オンデマンドへと移行しつつあるということを強く感じる」(報告書)としている。

 他の語句ついては、高校生では「インターネット」79.5%、「E-mail(イーメール)」79.0%、「Yahoo(ヤフー)」76.1%がそれぞれ70%台後半で認知率が比較的高く、次いで「ブログ」69.7%、「チェーンメール」69.2%、「ネットオークション」67.9%、「チャット」66.2%、「iPOD(アイポッド)」63.9%、「個人情報」62.1%、「Google(グーグル)」61.7%、「ウィルス」60.7%がそれぞれ60%台で続いている。

 逆に「スニーカーネット」2.4%、「ロングテール」2.6%、「SEO」2.7%、「高級言語」3.0%、「フレーミング」3.6%、「ポート」5.3%、「web2.0(ウェブ 2.0)」6.9%、「ワーム」7.8%はそれぞれ10%を切った。また、「MIXI(ミクシー)」は32.1%、「Winny(ウィニー)」は24.5%だった。


迷惑メールを流したことがある高校生が5.4%、ハッキングは2.0%

 このほか、高校生においては「アダルトサイトを閲覧したことがある」29.3%(男子47.1%、女子12.3%)、「違法コピー(CDやDVDをコピーして配るなど)をしたことがある」15.2%、「ネット詐欺被害を受けたことがある」2.9%、「ネット上でいじめを受けたことがある」2.9%、「ネット上でいじめをしたことがある」3.0%、「ハッキングをしたことがある」2.0%、「迷惑メールを流したことがある」5.4%といったデータも出ている。

 なお、これらの設問では、アンケート調査票を見る限り、アダルトサイトやネット詐欺、ハッキング、迷惑メールといった言葉についての定義は特に説明されてないようだ。「わからない」との回答も、アダルトサイトの設問で13.5%、ハッキングでは9.8%と比較的まとまった数がある。

 自ら作成・運営するサイトの経験については、「自分のホームページを持つ」38.3%、「自分のブログを持つ」24.1%、「自分が管理するBBSやチャットルームを持つ」16.3%、「ネット上での情報共有(ファイル共有ソフト等の利用)」10.8%という結果。特に女子では、ホームページが54.7%、ブログが33.8%、BBS・チャットルームが22.7%に上った。逆に、男子では、いずれも「ない」とした人が58.5%と半数以上に達した。

 一方で、保護者に対して、これらのサービスのうち自分の子どもが経験あると思うものを選ぶ設問では、ホームページが14.8%、ブログが12.0%、BBS・チャットルームが5.0%と実際よりも大きく下回っていたが、情報共有は9.4%でほとんど差がなかった。

 報告書では、子どもがインターネットでサイトを閲覧しているのか作成しているのか、外見と画面からでは何をしているのかわからないとし、「フィルター等の『しかけ』のみだけでなく『コミュニケーション』の本当の重要性が問われる時期にすでにさしかかっている」とも指摘している。


関連情報

URL
  インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_illegal/index.html
  全国高等学校PTA連合会
  http://www.zenkoupren.org/

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( 永沢 茂 )
2008/04/03 12:05

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