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マイクロソフトやヤフーなど5社、自民党の有害サイト対策法案に反対声明


 ディー・エヌ・エー、ネットスター、マイクロソフト、ヤフー、楽天の5社は5月30日、自由民主党の有害サイト対策法案の問題点をまとめた声明を共同で発表した。声明では、国が有害情報を定義することや、フィルタリングに対する指定機関を定めることなどに対して、画一的な価値観を強制することになりかねないとして懸念を表明している。

 青少年への有害サイト対策については、民主党が5月21日に法案の骨子を発表。自民党も法案の国会提出に向けて準備を進めており、今国会での成立を目指して与野党間での調整に入っていると言われている。

 声明では、まず「有害な情報」の定義について、何をもって「有害」と感じるかは価値観によって違いがあり、それを国が定義し画一的な価値観を強制することは表現の自由との兼ね合いから問題であると指摘。将来的に拡大解釈される可能性も否定できないため、例示であっても控えるべきとしている。

 また、「違法な情報」についても、民事法上、行政法上の違法情報まで含まれると対象が広範囲に及び、裁判所の判断を待たずに事業者が広範に表示規制をしていく結果を招くとして、表現の自由との兼ね合いから問題があると説明。違法な情報への対策については、刑事法のみに限るとしても、親告罪の取り扱いや従犯の取り扱いまで考えると対応が困難であり、正犯に限り、かつ刑法、児童ポルノ禁止法、売春防止法、麻薬取締法など限定列挙する必要があるとしている。

 フィルタリングについても、本来は利用するサービスと利用しないサービスを各家庭の価値観(基準)に基づいて、子供の成長に合わせて選択可能とするためのものだと説明。フィルタリングを情報を一律に遮断するための手段としてしまうことは、フィルタリングを世間の正しい理解から遠ざけるだけでなく、利用者にとっての利便性も欠けることから、その普及も阻害するものだとしている。

 また、フィルタリングの基準などを定める指定機関制度を設けることについても、国がその業務などについて関与する団体が情報選別の仕組みに権限を持つ限りは、国による実質的な情報統制にほかならないと指摘。画一的な認定基準に統一することは、フィルタリング会社間の競争を阻害させ、結果として間接的に国が認定する1種類のフィルタリングだけが残りかねないとしている。


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URL
  ニュースリリース
  http://www.netstar-inc.com/announcement/statement20080530.html

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( 三柳英樹 )
2008/06/02 14:04

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