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3D仮想空間の健全な発展を目指す業界団体「メタバース協会」設立


役員一同
 3D仮想空間に関する業界団体「メタバース協会」が18日に設立され、活動を開始した。同日、設立総会と記者発表会、および設立記念パーティーが開催された。

 メタバース協会では、技術やビジネスなどさまざまな委員会分科会を設置し、活動を行う。また、メタバース間の相互接続や日本に合ったサービスの研究、セミナーなどのイベント開催、雑誌やWeb媒体への協力などを主な活動とする。

 主な役員は、理事長(代表)がデジタルハリウッド大学大学院学長の杉山知之氏、常任理事(副代表)がngi groupの小池聡代表執行役社長CEO、常任理事(副代表)兼事務局長がサンワサプライの山田哲也代表取締役社長、常任理事兼情報局長がインプレスR&Dの井芹昌信代表取締役社長。常任理事にはアーティストのはたけ氏もいる。

 杉山理事長は、「協会を作ることで、いろいろな人が集って安全・安心にメタバースを使えるように、発展させていきたい」と話す。「海外ではメタバースの国際標準に関する動きが出ている。そういったことを広く知らせるとともに、日本側からも提案をしていきたいと考えている」とした。このタイミングでの設立理由については、「可能性のある世界だけに、悪いことも起きる。それによってメタバース否定の世の中になりつつあるので、早めに協会を作って健全な発展に貢献するのは重要なこと」と述べた。


 メタバース協会の概要については、デジタルハリウッド大学大学院の三淵啓自教授が説明した。「海外のメタバースのローカライズは、従来のWebサービスのローカライズよりも複雑。日本人にはSecond Lifeをそのまま受け入れることができない現状がある。日本独自のメタバースを作ってもいいが、それだと市場が狭くなる。Second Lifeで、日本語だけの広告モデルだと収益も低く、日本市場だけではビジネスにならない。そこで、世界標準に合わせる必要がある」と話し、グローバルとローカルのバランスを取りながら展開していくことが重要とした。

 また、日本のコンテンツを海外に流通させるプラットフォームとして、メタバースを活用すべきだという。「著作権やライセンスの関係、これらを守る技術的側面も含めて協議していきたい。整ってくれば、コンテンツ事業者も安心して展開できる」とした。さらに、デジタルコンテンツの著作権については、「専門家の意見・監修を得ながら進めていきたい。法的なものについては、大学の先生とともに、仮想通貨の問題や流通方法も含めて考えていきたい。今後、メタバースの新しい市場が生まれていく中で、日本はライセンス問題などで動けないという段階ではなく、すぐに参入できるようにインフラや法整備をしていけたらと思う」と述べた。

 井芹常任理事兼情報局長はメタバース協会設立の背景について、「1年前から、サンワサプライの山田社長が、メタバースに関する業界の集まりがあれば良いと話していたことが発端。そこで、三淵先生が主導して案をとりまとめた」と説明した。「ITに関する情報を扱う中で、ネットのビジネスが出てくると、相対的にリアルな部分がよくわかるようになった。例えば、電子書籍をやると紙の書籍の良さが逆にわかってくる。仮想世界が出ると、リアルな社会がよくわかるようになるのではないか。そういった意味で、仮想世界を通じて人間自体の研究もできるのではと非常に期待をしている」と話した。


デジタルハリウッド大学大学院の三淵教授 「メタバースの発展で、どう世の中がハッピーになっていくのか楽しみ」と話すはたけ氏

関連情報

URL
  メタバース協会
  http://www.metaverse-association.jp/

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( 野津 誠 )
2008/07/18 20:50

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