米Yahoo!は21日、同社と委任状争奪戦を繰り広げていた著名投資家のCarl Icahn氏との間で和解が成立したと発表した。これに伴って、8月1日の株主総会に向けて行われていた委任状争奪戦は終了することになる。
両者が合意した和解内容は、Yahoo!の取締役会にIcahn氏が入り、Yahoo!の現取締役会の大多数を支持すること、またIcahn氏が現取締役会支持のために保有議決権を行使することなどが含まれている。
詳しく見ていくと、Yahoo!の現取締役9人のうち、CEOであるJerry Yang氏や取締役会長のRoy Bostock氏を含む8人が取締役候補となる。1人だけRobert Kotick氏は立候補を取り下げることを決めた。Kotick氏は、この委任状争奪戦が終了次第、取締役を辞任し、自身の他のビジネスや社会活動に専念する意向を表明していたとされる。
この8人に加え、Icahn氏が新たに取締役に就任。さらにIcahn氏が新取締役候補として推薦していた9人のうち2人が今後選出され、新取締役候補となることが予定される。これによってYahoo!取締役会の人数は、これまでの9人から11人へと増える。
また、Icahn氏が保有するYahoo!の4.98%の普通株式6878万6320株については、これによって保有する議決権を、Yahoo!の現取締役会を支持するために行使することが決まった。
この合意についてIcahn氏は、「私は、会社全体の売却あるいは検索ビジネスの売却が正しい取り引きであると引き続き信じており、十分考慮を払われるべきだと考えてはいるが、それと同時に、Yahoo!が保有する高価な資産によって同社はインターネットでリーダーシップを引き続き拡大していく上で好位置にあり、株主へのリターンを強化することになるといった考え方にも共感している」とコメントした。
Yahoo!は、委任状争奪戦をひとまず回避したことによって一息つくことになるが、Yahoo!売却の考え方を依然崩さないIcahn氏が取締役に就任することによって、厳しい状況が続くことには変わりなさそうだ。
関連情報
■URL
米Yahoo!のニュースリリース(英文)
http://yhoo.client.shareholder.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=323246
米Yahoo!がSECに提出した書類(英文)
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1011006/000089161808000359/f42306e8vk.htm
■関連記事
・ 著名投資家のIcahn氏がYahoo!買収戦に参入、委任状争奪戦も辞さず(2008/05/16)
・ Yahoo!とIcahn氏の間で激しい応酬が続く(2008/06/09)
・ Yahoo!と対決中の著名投資家Icahn氏、ブログを開設(2008/06/20)
( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/07/22 12:09
- ページの先頭へ-
|