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ストリートビューは意見をもとに改善していく、米Google法務担当


米Googleのジェネラルカウンシルで法務担当副社長を務めるKent Walker氏
 グーグルは29日、報道関係者向けの定例会見を開催し、米国本社のジェネラルカウンシルで法務担当副社長を務めるKent Walker氏が、グーグルのプライバシーに対する考え方について説明した。プライバシー問題についてはGoogleマップの「ストリートビュー」について多くの問題点が指摘されており、Walker氏の説明もほとんどがストリートビューに関する内容となった。

 ストリートビューは、Googleマップからその地点で撮影した360度画像を見ることができる機能で、日本では8月5日から主要都市を中心に開始されたが、自宅が勝手に撮影されて公開されているといった点や、通行人の顔や車のナンバープレートが映りこんでいる問題、私道と思われる場所にも撮影車が入り込んでいるといった問題などが指摘されている。

 Walker氏はストリートビューについて、「ほとんど魔法のような世界で、東京にいながらにしてニューヨークのタイムズスクエアを見ることもできる。実践的な用途としては、新しい家を探している人がその近所を見てみたいといったような、不動産関係にはとても有用なサービス。あるいは、たとえば舗装業者であれば、実際に道路を舗装する前に道路の幅を確認できる」とサービスの有用性を語った。

 一方で、「世界各地にはいろんな文化があり、皆様の危惧もあるかと思います」として、米国以外でサービスを展開するにあたっては技術的な対応を行ったと説明。人の顔にはぼかしが自動的にかかるような仕組みを取り入れたが、「技術は必ずしも完璧ではない」として、問題のある画像についてはユーザーからの通知によって削除する形で、ユーザーにコントロールを委ねているとした。

 Walker氏は、今後さらにストリートビューのサービスを世界的に展開していく上では、ユーザーからの意見を取り入れて改善していきたいと説明。「サービスを展開するにあたっては、法規制やそれぞれの国の持つ文化というものを、きちんとを考えながら対応していく。サービスがユーザーにとって良いものであれば、解決策は見つけられるはず」として、日本のユーザーからの意見を取り入れていきたいと語った。


新しいサービスにはリスクやクレームが付きものだが、ベストの方法を考えている

 質疑応答でも、記者らの質問はストリートビューについて集中。勝手に撮影されることに反発を覚えるユーザーのために、車に撮影中であることがわかるような表示をするといった対処は取れないのかという質問には、「通知方法については検討中だが、通知を受けて画像を削除する体制を整えておく方が重要だと考えている。撮影中にユーザーが家にいるとは限らない」と答えた。

 また、新しいサービスについては、「リスクやクレームは付きものだが、それらがすべて事前にわかるわけでもない」と説明。「100年前に航空機が飛び始めた際には、住宅の上を飛ぶことが不法侵入にあたるのかということが問題になったが、ルートの下にある家からすべて許可を貰うということは現実的ではないとして考え直された」という例を挙げ、「我々は現在ユーザーにコントロールを渡すという方法をとっているが、新しい技術を導入する方法としては、何がベストかということを常に考えている」とコメントした。

 実際に削除依頼を行ったが、依頼を受け取ったという通知が来ないのはなぜかという質問には、「依頼に対してはなるべく迅速に対応する方針で、削除依頼を受け取ったという通知は行っているが、届いていなかったとすれば申し訳なく、改善していく」と説明。「インターネットのサービスは、運用しながら調整していけるところが良い点であり、今後も対応を改善していく」と述べた。

 これまでにストリートビューに対して削除依頼が何件寄せられたかという質問に対しては、日本についてはサービスを開始したばかりということもあって把握していないが、米国ではサービス開始からの数カ月で数百件程度しか無かったと説明した。

 ストリートビューで、画像にぼかしを入れる処理の対象となるものについては、現時点では車のナンバープレートと人の顔だけで、日本では表札についても意見を貰っているが、現在検討中だと説明。また、公道からしか撮影していないと説明しているが、私道に入って撮影している例もあり、そうしたルールはどのように撮影車や運転者に伝えられているのかという質問には、「事前に運転手はグーグルのトレーニングを受けるが、公道と私道の区別がつかない場合もある。そうした情報はぜひユーザーにも寄せていただきたい。こちらのミスがあった場所については対応していく」と答えた。


 日本ではストリートビューの撮影に使用しているカメラの位置が高すぎるのではないかという問いには、「カメラの位置を下げると、逆に歩いている人を写してしまうリスクが高まる。ユーザーからのフィードバックを受け止め、どのような形が日本ではベストかということを検討している」とした。

 インターネットを利用しておらず、ストリートビューの存在を知らないような人の権利についてはどのように考えているのかという質問には、知人や近所の人などが代理で依頼する方法があるが、電話でも削除依頼を受け付けていると説明した。

 しかし、実際にはストリートビューのページには現時点では受付の電話番号は見あたらず、ユーザーにも電話で削除依頼を受け付けていることは説明されていない。グーグルが今後ユーザーの意見を取り入れていくと言っても、そうした体制が整っているのかという問いには、「グーグルはこの10年で急速に成長した会社で、システムの多くはオンラインでセルフサービスという形を取らざるを得ない」としながらも、今後はカスタマーサービスについて改善を進めていくと説明。また、ストリートビューの削除依頼の電話対応については、現在はグーグルの代表番号で受け付けており、そこから担当の部署につながるようになっているが、そうした点も今後改善していきたいとした。


関連情報

URL
  Googleマップ
  http://maps.google.co.jp/

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( 三柳英樹 )
2008/09/29 19:26

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