F-Secureは、マルウェアやオンライン犯罪などの動向をまとめた2008年下半期の「データセキュリティ総括」を発表した。2008年は、マルウェアの検知数が前年比で3倍に急増し、オンライン犯罪も悪質化しているが、一方ではオンライン犯罪者の取り締まりも一定の成果を挙げたとしている。
F-Secureが2008年に検知したマルウェアの数は150万件に達し、2007年の50万件から3倍に急増。1987年~2006年の20年間でマルウェア総検知数は25万件だったが、2007年だけでその2倍の数となり、2008年には2007年からさらにその3倍と急速な伸び率を示している。
また、2008年には世界中でボットネットの活動が活発化。F-Secureのあるフィンランドの最王手ISPでは1%のユーザーPCが何らかのボットのような動きをしていると試算しており、フィンランドは比較的ボットの感染率が低い国だが、全世界で稼働している12億台のPCの1%が感染しているとすると1200万台の潜在的ボットが存在することになり、その脅威は高まり続けていると警告している。
このほか2008年に目立った脅威としては、詐欺的ソフトウェアによる被害、中国語サイトを狙ったSQLインジェクション攻撃、標的型(スピア型)攻撃などを挙げている。
オンライン犯罪については、すでにビジネスとして確立されており、オンライン犯罪が突然減るということは考えられず、この傾向は今後も続くと分析。一方で、オンライン犯罪への対策としては、多くのオンライン犯罪者が利用していたエストニアのドメイン名登録業者「EstDomains」がICANNの登録業者の認定を取り消されたことや、オンライン犯罪を実質黙認してきたISP「Atrivo/Intercage」に対して上位プロバイダーがネットワークアクセスを停止したこと、盗難クレジットカード情報を交換していたオンラインコミュニティへのFBIの潜入捜査により56人が逮捕された事例などを紹介。今後もこうした犯罪者に対する取り締まりのさらなる強化に期待したいとしている。
今後の予測としては、スマートフォンがさらに普及すると思われることから、携帯電話向けのマルウェアは飛躍的に増えてはいないものの、盗難や紛失に備えてスマートフォンのデータを安全に守ることが重要だと指摘。ボットネットはP2P技術などの新しい技術を取り込み、さらに高度化していくことが予想されるとしている。また、オンライン犯罪については、オンライン犯罪と戦うことの必要性を各国政府が認め、国際的なオンライン犯罪を取り締まるための国際協力機関の設立を望む声が大きくなるだろうとしている。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.f-secure.co.jp/news/200812081/
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・ 2008年上半期もマルウェアの急増が続く、F-Secure報告(2008/06/25)
( 三柳英樹 )
2008/12/08 16:10
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