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世界不況がサイバー犯罪横行の要因に、消費者の不安につけ込む


 米McAfeeは10日、セキュリティに関する年次調査報告書「McAfee Virtual Criminology Report」を発表した。それによると、景気低迷で不安や懸念を抱く多くのユーザーが「うまい話」に惑わされやすくなるなど、世界不況がサイバー犯罪横行の要因になっているという。

 年次調査では、サイバー犯罪者が昔ながらの「一攫千金」詐欺で利益を得ていると指摘。「楽に金銭が手に入る」という甘言で悪性コードを仕込んだサイトにユーザーを誘導したり、求職中のユーザーに対しては「国際営業マン」「発送担当マネージャ」という名目で、サイバー犯罪者の利益を資金洗浄するための「マネーミュール(金の運び屋)」として採用するケースもあるとしている。

 世界的な金融危機によって、政府や警察当局のサイバー犯罪への注意がそらされていることも、サイバー犯罪横行の要因となっているという。「政府が景気低迷に重点を置くと、サイバー犯罪の撲滅運動が政府の検討議題から外れる。その結果、サイバー犯罪の深刻度が増す恐れがある」。

 また、サイバー犯罪を取り締まる捜査官が不足していたり、専門的な技術が欠如していることも問題だと指摘する。「継続的な専門トレーニング、十分な報酬、明確なキャリアパスがないことが、民間企業によるサイバースパイの引き抜きや、地下経済への誘い込みの原因となっている」。

 サイバー犯罪者が攻撃元をごまかすためのトラフィック経由地としては、主に中国とロシアが「避難場所」となっているほか、最近ではブラジルも「犠牲国」の1つだという。このようにサイバー犯罪が国境を越えることで、各国間の警察当局が苦戦を強いられているとも指摘。「各国間の意思疎通は依然として一貫性が無く、限界がある。国際法は施行されても地域格差があるなど、各国間の引き渡しの交渉を阻んでいる」。

 サイバー犯罪対策について米McAfee最高経営責任者(CEO)兼プレジデントのデイブ・デウォルト氏はまず、「資金や人材の提供を行う必要がある」と指摘。その上で、法規制の効率化や、警察による国境を越えた連携などの必要性を挙げ、「誰もが、地球規模の闘いにおいて、各自の役割を果たさなければならない」として不正行為への共闘を呼びかけている。


関連情報

URL
  McAfee Virtual Criminology Report
  http://www.mcafee.com/japan/security/vcr04.asp

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ネット犯罪は自己顕示から組織的かつプロの犯行に~米McAfee調査(2005/07/06)


( 増田 覚 )
2008/12/10 16:58

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