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楽天執行役員渉外室長の関聡司氏(いちばん右)
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関氏は、ネット販売の「解禁」ではなく「継続」を求めるものと説明
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楽天、ヤフー、日本オンラインドラック協会、医薬品ネット販売推進協議会、日本通信販売協会、インターネット先進ユーザーの会は11日、「一般医薬品の通信販売の継続を求める要望書」を舛添要一厚生労働大臣に提出した。また、一般から集めた10万件を超える署名もあわせて渡した。
改正薬事法を受けて2009年6月1日に施行予定の省令案において、インターネットを含む一般医薬品の通信販売が大幅に規制されることに対して、従来通り販売が継続できるよう再検討を求めた。省令案が現在の内容で確定・施行されれば、現在はインターネットなどで通信販売できる風邪薬をはじめとした一般医薬品の67%が販売できなくなり、利用者に大きな影響を及ぼすとしている。
要望書では、医薬品のネット販売の継続を求める署名が約3週間で10万件を超えたことを紹介するとともに、医薬品の購入手段として通信販売が不可欠な人にとって健康維持の観点で重大な問題が出てくることなどを指摘している。また、医薬品にはリスクが伴うものであることから、健康被害の防止のためには実店舗・通信販売の区別なく、副作用などの情報を適切に提供していく必要があることを強調。「個別の販売経路の短所を否定しあうのではなく、医薬品販売体制全体での最善の情報提供を行うための議論をすべき」としている。
会見では、「楽天市場」上で11月13日からオンライン署名を展開している楽天の関聡司氏(執行役員渉外室長)が寄せられた意見を紹介した。10万件を超える署名のうち、自由コメント欄に4000件以上の記入があり、「理由に納得できない」「手渡しに何の意味があるのか」といった意見が多数あったという。また、店頭での対面よりもインターネットの方がコミュニケーションが行えるといった言語障害のある人からの手紙もあったとしている。なお、インターネットで一般医薬品を購入したことのある人は推定で約852万人いるという。
関氏らは11日午前に舛添厚労大臣を陳情に訪れ、要望書と署名、手紙を手渡した。大臣からは、こうした要望とも両立できるようにしていきたいとのコメントがあったとしている。
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集まった署名
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寄せられた手紙
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● ネット販売を手がける中小の薬局・薬店には死活問題
日本オンラインドラッグ協会理事長の後藤玄利氏(ケンコーコム代表取締役)は、利用者にインタビューした動画を紹介した。インターネット通販と実店舗を使い分けている人もいたが、実店舗では化粧品などの日用品を多く取り扱うようになっており、医薬品は置いている製品が限定されていることもあるという。インターネットでないと購入できない製品があるなど、「禁止するメリットより、デメリットの方が大きい」と述べた。
また、インターネットで一般医薬品を販売する薬局側からも、薬剤師の声が紹介された。その薬剤師は「病院が漢方外来をやるようになって、客が来なくなった。ネット販売を規制されると、つぶれる薬局が多く出てくるのではないか。ネット社会にふさわしいルールを作ってほしい」と述べた。
後藤氏は、外出が困難な人や子育て中の人などにとって、医薬品のインターネット販売が「生活のインフラになっている」とし、今回の規制がそれを奪うことになると指摘。また、「中小の薬局・薬店の薬剤師を見殺しにするのは正しい行政のやり方なのか」との疑問も投げかけた。
このほか、12月2日に舛添厚労大臣らに嘆願書を提出したという医薬品ネット推進販売協議会会長の山口剛史氏も、規制について「我々販売者にとって、業種の存続の死活問題になる」と訴えた。
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日本オンラインドラッグ協会理事長の後藤玄利氏(ケンコーコム代表取締役)
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医薬品ネット推進販売協議会会長の山口剛史氏
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関連情報
■URL
楽天のニュースリリース
http://www.rakuten.co.jp/info/release/2008/1211.html
日本オンラインドラッグ協会
http://www.online-drug.jp/
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( 永沢 茂 )
2008/12/11 16:26
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