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オンライン詐欺対策「大丈夫」は3割、新たな脅威で自信が低下


 シマンテックは17日、オンライン詐欺に関する実態調査の結果を公表した。調査では、4人に1人が個人情報を盗まれるなどの被害に遭った可能性があることがわかった。また、次々と新しいオンライン詐欺の手法が出てくることなどから、詐欺対策に自信を持てなくなるユーザーも増えているという。

 調査は、シマンテックがヤフーバリューインサイトに委託。インターネット利用歴3年以上で15歳以上の男女1000人を対象として、インターネットによる調査を10月に実施した。


クレジットカードのオンライン決済が進む

オンラインショッピングの決済方法の利用率
 調査によると、ネットショッピングやサービスの利用率は84.4%。決済手段では、「画面上でクレジットカード決済」が70.7%と最も多く、次いで「コンビニエンスストアでの支払い」が45.9%だった。過去1年間で利用が増えた決済手段でも、「画面上でクレジットカード決済」が38.9%で最多だった。

 その他の決済手段の利用率では、「オンラインバンキングで振り込み」(42.0%)、「料金受取人払い(代金引替)」(37.1%)、「窓口・ATMなどで銀行振込/郵便振替」(34.0%)、「電子マネー」(8.7%)が続いたが、いずれも前年比で利用割合が低下。このことから、クレジットカード決済への集中が進んだとしている。

 回答者が「非常に不安」および「多少は不安」とした脅威では、「銀行預金の引き出し、クレジットカードの不正使用によって金銭的被害を受けること」(88.4%)や「インターネットで入力した個人情報やログイン情報などが漏れたり、盗まれたりすること」(87.2%)などが挙げられた。

 実際に個人情報詐取などの被害に遭ったという人は3.9%と少なかったが、「ひょっとしたら何かの被害に遭っているかもしれない」(22.6%)を含めると、4人に1人が潜在的な被害者である可能性があるとしている。個人情報が漏れた原因では「全くわからない」が38.9%で最も多く、2007年の前回調査の32.9%から増加。これは、被害の潜在化が進んでいることを示しているという。


オンライン詐欺の被害実態 オンライン詐欺で懸念される事項

「理解度」「防御への自信」はいずれも大きく後退

オンライン詐欺への理解度と防御への自信について

有効な防御手段と実践状況
 オンライン詐欺対策については、「正しく理解している」という人が24.3%と、前年から9ポイント低下。正しく対策できていると思うかについても、「絶対に被害に遭わない自信がある」が1.1%、「たぶん大丈夫」が31.8%で、いずれも前回から減少した。有効だと思われる対策としては、「総合セキュリティソフトを使用する」が78%で最も多かったが、これを実践している人は55%にとどまった。

 対策に自信が持てない理由としては、「セキュリティソフトがどこまで防いでくれるのかわからない」(65.4%)と「いくら対処しても次々と新しい詐欺の手法が出てくるので」(60.1%)が多く挙げられた。この結果について同社リージョナルプロダクトマーケティングシニアマネージャを務める風間彩氏は、「PC上級者であっても、次々と出てくる詐欺の手法に不安を感じている」と分析している。

 オンライン詐欺への不安が高まる一方、インターネットの利用方法が「変わっていない」という回答者は55.6%で、「変わった」(44.4%)を上回った。「変わっていない」という回答者の中には、50代の女性に特に多く見られる「どうすればよいかわからないので、変わっていない」(34.6%)と10代から20代男性に多い「特に気にしていないので、変わっていない」(21.0%)が混在している。

 インターネットの利用方法が具体的にどのように変化したかについては、「安全だと確信できる(SSLの使用など)サイトでしか買い物をしなくなった」が24.8%と最も多く、次いで「パスワードを定期的に変更するようにした」(23.9%)、「ブログや口コミサイトなどを見る」(23.4%)、「対策ソフトなどを導入/追加した」(21.2%)などが上位に挙げられた。


オンライン詐欺対策に自信が持てない理由 ネット利用の変化の内容

オンラインゲーム利用者の1割が過去1年間でRMTを経験

オンラインゲームの利用状況
 また、今回の調査から初めて集計したオンラインゲームの利用状況では、回答者の2割(218人)が利用しており、そのうちほぼ1割にあたる23人が、過去1年間でリアルマネートレード(RMT)を行っていた。1年間の支払いおよび受取額の平均は18万8014円だったほか、オンラインゲーム利用者の7.8%が取り引きを持ちかけられたり、RMT関連詐欺の被害に遭った経験があることもわかったとしている。

 なお、オンラインゲーム利用時に、セキュリティソフトを「無効にすることがある」(13.3%)と「もともと使用していない」(7.3%)の合計は2割に上った。セキュリティソフトを無効にする理由としては「ゲームに干渉する」や「動作が重くなる」など、導入しない理由では「お金がかかる」や「動作が重くなる」などが挙げられた。

 風間氏によれば、最近では、安価で購入できるUMPC(ウルトラモバイルPC)が普及したことで、PCのユーザー層が拡大していると指摘。PC初級者を含むユーザーの中には、「時間もお金もかかる」という理由でセキュリティ対策を怠るケースも少なくないとしているが、攻撃者は無防備なユーザーを狙う傾向があるため、高度なセキュリティソフトを効果的に利用すべきと訴えた。


オンライン詐欺で詐取された個人情報は闇市場で取り引きされている

シマンテックでリージョナルプロダクトマーケティングシニアマネージャを務める風間彩氏
 PCユーザーが直面している脅威として風間氏は、2007年下半期にシマンテックが全世界で検出したフィッシングメッセージが前期比5%増の20万7540件で、1日あたり平均1134件に上ると説明。新たに見つかった悪意のあるコードについても、前期比136%増の49万9811件に達し、特に推定感染数の上位8%を占める、オンラインゲームの利用者をターゲットにした脅威が増しているとした。

 また、2007年7月から2008年6月までにアンダーグラウンド市場のサーバーで宣伝された商品の総額は2億7600万ドル(約276億円)に上ると説明。同市場で最も多く取り扱われているのは全体の31%を占めるクレジットカード情報で、1件あたり0.1ドルから25ドルで販売されているという。「オンライン詐欺で詐取された個人情報が、アンダーグラウンド市場で取り引きされている」として注意を促した。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.symantec.com/ja/jp/about/news/release/article.jsp?prid=20081217_01

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個人情報の入力が増える一方、防御策には「自信なし」~シマンテック調査(2007/12/20)


( 増田 覚 )
2008/12/17 19:03

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