一般医薬品のインターネット販売の継続容認を訴え、署名活動を展開している楽天に対して、全国薬害被害者団体連絡協議会や薬害オンブズパースン会議などが22日、中止を求める要望書を連名で提出したと発表した。署名活動に際して「対面販売でないことを起因とする健康被害の実例は1件も報告されていません」と説明している点が事実に反しているとして、直ちに署名活動を中止するよう求めている。
要望書では、2006年5月に当時19歳だった少年が楽天市場の医薬品販売サイトで催眠鎮静剤を24箱購入し、他の店頭で購入した6箱と合わせて服用自殺を図り、一命はとりとめたものの後遺症が残った事例を紹介。「このような危険性のある医薬品を、19歳の少年に対し24箱も販売するということは、購入者が若年者であることが一目で把握できる店頭の対面販売では考えられません」などとコメント。まさに「対面販売でないことを起因とする健康被害の実例」と指摘している。
要望書によれば、この鎮静剤は年間複数の自殺目的の乱用が報告されていたため、製造会社側では、販売は1人1箱に限定し、18歳未満には販売しないよう求めていたものだったという。
要望書ではこのほか、楽天市場の医薬品販売サイトで、購入者が年齢や生年月日を入力することなく注文できるものが少なくないこと、厚生労働省通知に違反した医薬品販売を行っているサイトが多数存在することなどを指摘し、楽天の見解を求めている。
なお、要望書によれば、楽天は上述の事例が報道された2008年12月17日、この鎮静剤の販売を即刻中止する旨のコメントを発表したという。
この報道については、ケンコーコムなどが参加する日本オンラインドラッグ協会も18日付でコメントを発表している。使用者に健康被害が残ったことについて遺憾だと述べるとともに、今後このようなことが発生しないよう厚生労働省に対して要望書を提出したとしている。
具体的には、同協会が東京都内の薬店8店舗で実際にこの鎮静剤を購入してみた独自調査の結果を報告。すべての薬店で2箱以上同時に購入できたほか、適正使用についての情報提供が行われた薬店が1店舗しかなかったとして、地方自治体に対し、不適切販売事例や指導事例の報告を求めるとともに、販売実態の調査を行うよう求めている。
関連情報
■URL
薬害オンブズパースン会議のニュースリリース
http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=629
日本オンラインドラッグ協会のニュースリリース
http://www.kenko.com/company/pr/archives/2008/12/post_41.html
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( 永沢 茂 )
2008/12/22 19:38
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