ソフトバンク、5年後に純有利子負債ゼロ公言

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ソフトバンク、5年後に純有利子負債ゼロ公言

「借金経営」などの“残存イメージ”解消へ

ソフトバンクの孫正義代表取締役社長

　ソフトバンクは30日、2008年度（2008年4月～2009年3月）の連結決算を発表した。売上高が2兆6730億円（前年度比3.7％減）、営業利益が3591億円（同10.7％増）、経常利益が2256億円（同12.7％減）、当期純利益が431億円（同60.3％減）だった。

　ソフトバンクの孫正義代表取締役社長によると、営業利益は4期連続で過去最高を更新した一方で、売上高が減少した原因は「ただ1つ」。ソフトバンクモバイルの携帯電話端末の販売台数が減っているためだという。ただし、ユーザーに短期間で端末を乗り換えさせるという日本の携帯電話のいびつなビジネスモデルを、同社が割賦販売方法を取り入れ、経営的に意図して改善した結果だとしている。

　端末の販売よりも利益の出る通信料売上を重視したことで、移動体通信事業では通信料売上が増収を達成。ソフトバンクモバイルが2009年3月までの23カ月連続で、純増契約数でトップだったことに関して、経営的に無理をして純増を続けているのではないかといった見方があることに対して孫社長は、着実に利益を出しながら事業を展開していると反論した。

　3月末時点の主なサービスの累計契約者数は、ソフトバンクモバイルの携帯電話が2063万2900件、「Yahoo! BB ADSL」が429万9000回線、直収型固定電話サービス「おとくライン」が160万8000回線。


移動体通信事業の売上高の推移。端末販売などは減少したが、通信料売上が増加した	移動体通信事業における通信料売上の増減率の推移。他社が減少傾向にある中、増収基調に転換したと説明する

● 「キャッシュフロー経営」を改めてアピール

「キャッシュフロー経営」の強化をアピールする孫社長

　孫社長は30日に行った決算説明会で、“残存イメージ”という言葉を多用した。その1つである同社に対する「借金経営」というイメージについては、「キャッシュフロー経営」というスタンスを改めて紹介し、「新たなイメージでとらえていただきたい」と訴えた。

　2007年度にはフリーキャッシュフロー（営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計）が1642億円のマイナスだったのが、2008年度は1815億円のプラスに転じたことを説明。さらに2009年度は2500億円になるとの予想を示し、2009年度から2011年度までの3年間でフリーキャッシュフローを1兆円前後にするとした。

　有利子負債については2009年3月末で1兆9395億円あるが、孫社長は、これを2年後の2011年度に半減、5年後の2014年度にゼロにすることを公言。「ソフトバンクは経営が荒っぽい、借金過多だという“残存イメージ”が数年たつと解消する時代がくるだろう」とした。なお、純有利子負債ゼロを達成するまでは、数百億円規模になる大規模投資は行わないことも明言した。

　日本テレコムの買収やブロードバンドインフラ事業の展開などで失敗したとの“残存イメージ”に対しても、これらを合わせたソフトバンクの固定事業はここ数年は営業黒字を達成しており、2008年度は合計700億円近くの営業利益を出したと説明。「固定事業は赤字のイメージがある中で利益は好転しており、あと数年で営業利益1000億円に乗る」と反論した。


純有利子負債の削減目標。5年後の2014年度にゼロに	固定事業における営業利益の推移。NTT東西とKDDIを上回ると説明

● PCでインターネット利用することも“残存イメージ”？

　孫社長は、「インターネットはパソコンからやるもの」というのも、多くの人が持つ“残存イメージ”だと指摘する。ソフトバンクは2008年を「インターネットマシン元年」と位置付け、モバイルインターネットの普及を進めてきた。その代表が「iPhone 3G」の投入だが、孫社長は、iPhoneだけでなくすべての携帯電話端末がモバイルインターネットマシン化するとし、こうした流れが「違うかたちのブロードバンドに進化する」と説明する。

　これは、光ファイバが最良のブロードバンドインフラであるとの考えも“残存イメージ”なのではないかとの指摘だ。孫社長は2008年7月にiPhoneを使い始めてからインターネットの利用機会が数倍に増えたというが、パソコンからの利用は10分の1に減り、iPhoneからの利用が増加した。そのような状況を受けて孫社長は「光ファイバは果たしてどれだけ必要なのだろうか？　光ファイバを使うのは遅れた人ではないか？　パソコンを使うなど、遅れたインターネットの使い方ではないか？」と考えるまでに至ったという。「ADSLの次は光と言われるが、光の次はiPhoneと認識される時代が来る」。

　とはいえ、固定ブロードバンド回線もケースバイケースで有用だとした。例えば、iPhoneも自宅で使う際はWiFi接続があった方がいいが、画面も小さいため、光ファイバよりも安価なADSLで済ませるという方法があるとした。また、HD映像のストリーミングや、地デジのアンテナ設備がない建物など、光ファイバが役に立つところもあるとした。

関連情報

■URL
　ソフトバンク　株主・投資家向け情報
　 http://www.softbank.co.jp/ja/irinfo/index.html

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・ソフトバンク2007年度決算、売上高2兆7,762億円で増収増益（2008/05/09）
・ソフトバンク決算会見、孫氏は健全経営をアピール（2008/10/29）

（永沢茂）
2009/04/30 21:56

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