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フリービットの石田宏樹代表取締役社長。米国でのリリースについて、「世界で売れるメイドインジャパンのプロダクトを目指してきた。その14年間の思いがこもったものになった」とコメント
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フリービットは14日、iPhoneをWebサーバーやオンラインストレージにできるソフトの新バージョン「ServersMan@iPhone 1.1b」を日米で同時にリリースした。「App Store」より無料でダウンロードできる。iPhoneのほか、iPod touchにも対応する(iPhone 2.0ソフトウェアアップデートが必要)。
「1.1b」では、ServersMan上でアプリケーションを動作させるための「ServersMan Apps」プラットフォームを新たに実装した。一般的な機能を持つアプリケーションでもServersManと連携させることでより便利になると説明しており、「1.1b」には「ServersMan Music Player」と「ServersMan Voice Recoder」という2種類のアプリケーションを標準で搭載した。
「ServersMan Music Player」は、.mp3および.m4aファイルを再生できるメディアプレーヤーソフトだが、ServersManを起動させたままで音楽を再生できるのが特徴。すなわち、iPhoneのオンラインストレージにPCなどからアップロードした楽曲をすぐさま直接再生できるため、PCとのケーブル接続やiTunesとのシンクロ不要で使えるのがメリットという。
「ServersMan Voice Recoder」では、iPhoneで録音したAIFF形式の音声ファイルに対して、インターネット経由でPCなどから直接アクセスできる。iPhone内に保存してある状態のまま、会議の議事録を即座に共有したり、Webで配信することが可能になる。
機能面ではこのほか、.zip形式のファイルに対応。圧縮してアップロードしたファイルをiPhone上で解凍することが可能なった。安定性やサーバーの処理速度もアップしたとしている。
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「ServersMan@iPhone 1.1b」に標準搭載している「ServersMan Apps」
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● 英語版ソフト/サービスのほか、米国にゲートウェイを設置
日米同時リリースということで、国際化対応も行った。ソフトウェアおよびWebサイト「ServersMan.Com」を英語化しただけでなく、ServersManのネットワークを運用するための「ServersMan Cloud Base」を米国内にも設置した。
ServersManでは、ソフト自体にIPv6アドレスが割り当てられており、仮想ネットワークを構成する仕組みになっている。「ServersMan Cloud Base」は、その仮想ネットワークを運用するためのユーザーデータベースや、既存のIPv4ネットワークとのやりとりを行うゲートウェイなどを含むサーバー群だ。従来から設置してある日本と、新設した米国の「ServersMan Cloud Base」を同期することで、ユーザーが世界中どこでもServersManを使える環境を提供する。
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「ServersMan.Com」の英語サイト
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日米の「ServersMan Cloud Base」が同期しており、世界中でシームレスに使える
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● 夏ごろリリースのバージョン「3.0b」から、有料サービスを展開
フリービットが14日に開催した戦略説明会では、「ServersMan@iPhone」が、すでに2つ後のバージョンまで開発が進んでいることを明らかにした。
まず、メジャーバージョンアップとなる「2.0b」では、サーバー機能のマルチスレッド化対応により、Webサーバー動作時など約200%の高速化を実現するという。夏ごろのリリースと言われている次期「iPhone OS 3.0」のベータ5での動作も検証済みだとしている。「2.0b」はすでに開発を完了しており、現在はAppleによる審査待ちの状態だ。
さらにその次の「3.0b」では、「iPhone OS 3.0」の新機能に積極的に対応するという。デベロッパー契約での守秘義務があるため、詳しい内容については明らかにしなかったが、今年6~8月ごろの同OSのリリースに合わせるかたちで「3.0b」を投入したい考えだ。
アプリケーション自体のほかにも、「3.0b」では大きな動きがあるようだ。まず、「1.1b」で実装した「ServersMan Apps」プラットフォームをデベロッパーに開放する。これにより、ServersMan上で自由に動かせるアプリケーションをサードパーティが開発できるようになる。当初は、HTMLベースのWebアプリケーションの開発環境を提供し、追って年内にもネイティブアプリケーションの開発環境を公開する。
また、ServersManの有料サービスも「3.0b」から展開する計画だ。現在提供しているアプリケーションと基本機能はそのまま無料で提供する一方、例えば月額2ドルの「Ubicプラン」で常時接続・転送量無制限に、年額17ドルの「UbicNameオプション」で独自ドメイン名でのWebサ―バー公開可能に、さらに月額2ドルの端末5台追加オプションで端末のグルーピングを可能にしていくようなビジネスモデルを想定している。
フリービットの石田宏樹代表取締役社長によると、ServersManの1端末あたりの維持コストは、サーバー維持費とトラフィック費を含め、月間2円かからないという。一方、有料サービスを提供した場合は、人件費を含めても、7割という高い利益率を確保できるとみている。まずは、無料でソフトとサービスを提供することで世界で利用者を拡大し、その後、有料オプションによるARPU向上を図る考えだ。
なお、有料サービスで得た売り上げの一部を「ServersMan Apps」のデベロッパーに還元する仕組みも考えているという。
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ServersMan有料サービスによるビジネスモデル
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「ServersMan Apps」プラットフォームのアーキテクチャ
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説明会ではこのほか、iPhone版、Windows Mobile版に続く、ServersManのAndroid版についても言及した。ロゴを紹介するとともに、開発中の「ServersMan@Android」をT-MobileのAndroid端末「G1」で実際にWebサーバーとして稼働させるデモを披露した。「AndroidでIPv6を動かしたのは、おそらく世界で初めてではないか」(石田社長)という。
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「ServersMan@Android」のロゴ。このWebページは、開発中の同ソフトを実際にインストールしたAndroid端末上で稼働している
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T-MobileのAndroid端末「G1」で稼働中の「ServersMan@Android」
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.freebit.com/press/pr2009/20090514_02.html
ServersMan.Com
http://serversman.com/
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( 永沢 茂 )
2009/05/15 11:32
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